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魔法にかけられた街!?歴史的城塞都市クエンカの魅力に迫る!

今回ご紹介するのは世界遺産、スペインの「歴史的城塞都市クエンカ」です。

「鷲の巣」、「魔法にかけられた街」、「時が止まった街」などとも呼ばれる事のあるこの町の事をご存じでしょうか。
スペインのカスティーリャ・ラ・マンチャ州にあるこの町は、川の浸食によって削られた断崖絶壁の上にある事で有名な町なのです。

「魔法にかけられた街」などと聞くと、一体どんなところなんだろう、と旅好きの好奇心を刺激するにはもってこいの響きですよね。

それでは、世界遺産、歴史的城塞都市クエンカの魅力についてご紹介していこうと思います。

クエンカの歴史

クエンカは人口60,000人程度の小さな町で、その歴史は9世紀に始まります。

現在のスペインの首都マドリードとオレンジが有名な町バレンシアの中間地点にあるこの土地の断崖絶壁の上に当時イベリア半島を統治していた後ウマイヤ朝によって要塞が立てられた事をきっかけに徐々に人が集まり、町が出来ていきました。

クエンカの語源は現在でも明らかではなく、主に2つの説があります。
1つは「川の間の盆地」を意味するラテン語の「conca」(コンカ)が語源という説です。

この言葉が表す通り、クエンカは元々フカル川とウエカル川の間の峡谷の小高い丘から広がっていきました。
もう1つの説は後ウマイヤ朝の建てた要塞の名前が「クンカ」だったからという説です。

どちらの説も決定的な証拠の裏付けはありませんが、この2つの説が有力となっています。

クエンカの歴史に話を戻します。
9世紀に王都コルドバの防衛の為の要塞が建設されると、要塞の周囲に町が広がって行きました。

しばらく大きな事件などもなく順調に成長していくクエンカでしたが西暦1177年に、イベリア半島の「国土回復運動」(レコンキスタ)を進めていたカスティーリャ王国のアルフォンソ8世に攻撃され、町は包囲されてしまいます。

もともと王都防衛の為に作られた事もあり、クエンカはカスティーリャ軍に対してよく戦いましたが、9ヶ月の長い籠城戦の末に降伏しました。

カスティーリャ王国領となったクエンカには、カトリックの司教座が置かれたため、キリスト教徒が移り住みました。
やがて崖の上の土地が不足し始めると人々は崖下に町を広げ始めます。

カスティーリャ王国の主要都市の1つとなったクエンカでは、織物産業が発展し、16世紀頃までは順調に成長を続けていきます。
経済的に衰退期を迎えた16世紀以降は、崖の上には宗教的建造物、崖下には住宅街と住み分けがされるようになりました。
カトリック司教座が置かれていたクエンカには、クエンカ大聖堂をはじめとする教会、聖堂が数多く残されていて、スペイン=ゴシック式の教会建築としては最古の部類に入るそうです。

大航海時代の訪れとともにクエンカの経済・産業は衰えてしまいましたが、カトリック司教座を中心とする宗教的権威はありましたので、最盛期からはかなり人口が減少したものの宗教的権威を基盤として一定の規模を保ち、現在に至ります。

代表的建造物

クエンカは町全体の景観が世界遺産登録基準となったとも言われていて、世界遺産の他の町と比較すると目立つ建造物はやや少なくなっています。

クエンカ大聖堂

西暦1196年に建設が開始されたゴシック式の大聖堂です。
着工から800年経った今でもまだ完成していないそうです。

先程もお話しましたが、クエンカ大聖堂はスペイン=ゴシック式の教会建築としてアビラ大聖堂と並ぶ最古の教会建だそうです。

その歴史の中で尖塔が失われてしまっている為、正面のマヨール広場から見ると四角い城門のような印象も受けるクエンカ大聖堂のファサードですが、内部に入ると実に華麗な装飾によって彩られている事に驚くでしょう。

ファサードの薔薇の窓の部分のステンドグラスや、礼拝堂も非常に美しいのですが、ここで最も記憶に残るのは聖具室ではないかと思います。
聖具室の中央にはキリスト像が置かれていて、その背後の壁は黄金が張られた聖母マリアへの祭壇になっています。

宙吊りの家

クエンカのシンボルとも言えるのがこの宙吊りの家です。
断崖絶壁の上に立てられたこの建物のバルコニーは、崖の外側にはみ出しています。

落ちてしまわないのかな、と思ってしまうくらいのすごい場所に建っている為、別名を「不安定な家」とも言うそうです。

宙吊りの家はもともと14世紀頃に建てられ、18世紀中頃までは市庁舎として使われていたそうです。
オフィスがこんなところにあったらぞっとしそうですが、現在で言えば高層ビルの上層階にオフィスがあるような感覚なのでしょうか。

宙吊りの家の内、中に入ることの出来るのは3軒で、1軒はCasa de la Sirenaというレストランになっています。
このレストランの窓際の席は人気ですので、もし窓際席が良い場合には予約をした方がいいでしょう。
私が訪れた時も窓際は埋まっていました。※2008年7月の平日

残りの2軒はスペイン抽象美術館となっています。

宙吊りの家に行くには、サン・パブロ橋という橋を渡っていくのですが、この橋がわりと怖いです。
高所恐怖症の人は渡れないかもしれません。

サン・パブロ橋は西暦1902年に作られた鉄製の橋ですが、高さ60メートルの位置にあり、幅が狭くよく揺れる、クエンカ一番の恐怖体験スポット(?)です。
ここからの景色はまさに絶景で、宙吊りの家の記念写真の撮影スポットでもあるのですが、苦手な方は途中で動けなくなってしまうかもしれません。

特に晴れた日の夜、ライトアップされた姿はとても美しいので、苦手な方はこちらをご覧になるのもいいかもしれません。

旧サン・パブロ修道院

旧サン・パブロ修道院は、16世紀に建設された修道院で、現在はパラドール・デ・クエンカとして利用されています。
パラドールというのは歴史的建築物を利用したホテルで、クエンカのパラドールは旧市街を見渡せる位置にあって、宙吊りの家を窓から眺めることのできる部屋もあります。

建物自体も16世紀のスペイン=ゴシック式の修道院を改修していますので、非常に雰囲気のある良いホテルです。
宙吊りの家とサン・パブロ橋の夜景を楽しむにはぴったりのロケーションとなっています。

役立つ情報&豆知識

こちらではクエンカ観光に役立つ情報や豆知識をお伝えします。

ガスパチョ

ガスパチョというとトマトとにんいく、オリーブオイルとパンでつくった冷たいスープを想像すると思いますが、クエンカでは違います。

主に冬に食べられるウサギ肉のスープの事をガスパチョと言いますので、レストランで注文するときは確認して見て下さい。
ウサギ肉以外ではウズラ肉が使われている場合もあります。

クエンカの名産品

TORTAS DE MIEL(トルタ・デ・ミエル)というアーモンドと蜂蜜のヌガーが有名です。
ヌガーというのはナッツ類や果物を砂糖と水飴で煮詰めたお菓子で、クエンカではアーモンド蜂蜜のヌガーが名産品になっています。
お手頃で値段も安いので、お土産にはもってこいの1品ですね。

最後に

いかがでしたか。
これをきっかけにクエンカに興味を持って頂けたなら幸いです。

実はクエンカの街並みは、日本のアニメの中でモデルになったこともあり、どこかで見たことがある景色に思える方もいらっしゃるかもしれません。

「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」と「劇場版テイルズオブヴェスペリア~The First Strike~」という2つの作品で実際の街並みに酷似したシーンがあります。

以前はマドリードからバスや鉄道で2~3時間かかったクエンカでしたが、現在はAVE(スペイン高速鉄道)の駅が出来たので1時間もかからずにクエンカに到着します。

日帰りでも十分楽しめると思いますので、マドリードまで行くのでしたらクエンカへ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。