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無人島が世界遺産!?観光難儀のイギリスのヘンダーソン島の実態とは?

今回ご紹介するのは世界遺産、イギリス領ピトケアン諸島の「ヘンダーソン島」です。

皆さんはヘンダーソン島についてご存じでしょうか。

ヘンダーソン島は南太平洋のイギリス領ピトケアン諸島に属する無人島で、周囲を岩礁に囲まれたサンゴ礁の島です。

この島には一時期ポリネシア系の原住民が定住していた形跡があったのですが、その後何らかの理由によって原住民は消滅し、いわゆるミステリーアイランドとなっていました。

無人島であることから動植物の楽園ともなっており、外界から閉ざされた絶海の孤島という環境から島固有の生物種も数多く存在しています。

そんなヘンダーソン島の魅力について、歴史を踏まえながらご紹介していきたいと思います。

ヘンダーソン島の歴史

南太平洋の各地に住んでいたポリネシア系の原住民は、遠洋航海を行う技術を持っていたのではないかと言われています。

その理由は数百キロメートルから数千キロメートル他の島と離れている孤島であっても至る所に古代ポリネシア人の生活した痕跡が見つかっており、遠洋航海が可能でなかったとしたらそこまで広範囲に移住ができた理由が説明できないからです。

ヘンダーソン島も例外ではなく、最も近い島からでも約200キロメートル離れている絶海の孤島であるにもかかわらず、原住民が定住していた跡が発見されているのです。

この島に定着した原住民はしばらくすると、何らかの理由によって姿を消してしまいました。

その後は長い間無人島のままとなり、西暦1606年にスペインの船乗りペドロ=フェルナンデス=キロスによって発見されました。

この時の記録によれば、島は既に無人島となっていたものの、人が住んでいたと思われる形跡が認められたそうです。

地理的にも戦略的価値が認められなかったことからしばらく島の存在は忘れられていましたが、約200年後の西暦1819年にイギリス東インド会社の商戦が島に到着し、ここを自らの名前にちなんでヘンダーソン島と名付けました。

この後で別のイギリス戦績の船舶がこの島に上陸し、エリザベス島と名付けたため、しばらく島には二つの名前がある状態となっていましたが、20世紀初頭に現在の名称に統一されました。

ヘンダーソン島は古代以来定住している人が存在しない無人島であるため、特に歴史的な事件などはなく、難破船などからの遭難者が数か月間暮らした例がいくつかあるだけとなっています。

遭難者がこの島で暮らした例をご紹介していきますと、最も古いのは西暦1820年にアメリカ戦績の船が沈没し、乗組員3人が乗ったボートが島に漂着したのが最も古い記録です。

トーマス=チャベル、セス=ウィークス、ウィリアム=ライトという三人の乗組員が乗ったボートは他の船員が乗ったボートとはずれてしまい、ヘンダーソン島に漂着したのです。

この三人は約4か月後の4月9日に救出されるのですが、それまでの間島の中を水を求めてさまよい、かつてこの島に上陸した捕鯨船の名前が掘られた木を発見した他、島内にあった洞穴で、8人の人骨を発見したという証言記録が残されています。

またそれから30年後の西暦1851年にはピトケアン島の住民がヘンダーソン島に上陸した際、海岸で別の人骨を発見しています。

20世紀に入ってからも人骨の発見は続き、西暦1958年には別の洞穴で大人1人、子供3人の人骨が発見されました。

この時発見された4人の人骨は、化学的調査の結果コーカソイド系、つまり白人の人骨であることが判明しています。

西暦1966年にはアメリカの研究機関が海岸や洞穴で発見された人骨を調査した結果、これらの遺体は古代のポリネシア人ではなく、遭難して水や食料が手に入らず、脱水症状で死亡した白人のものだと結論づけました。

最も新しい遭難記録は西暦1957年に遭難した若いアメリカ人の男性が、近くを訪れていたピトケアン島の住民に救出されるまで約2か月の間をヘンダーソン等で過ごしたという記録が残っています。

ヘンダーソン島の生態系

この島はユネスコの世界遺産ではありますが、古代ポリネシア系原住民が姿を消してから長い間無人島でした。

人間が生き延びるには厳しい環境ですが、鳥類や植物、またカタツムリなどの無脊椎動物にとっては人間の手が入っていない自然で溢れた住みやすい島となっています。

この島の固有種としてはヘンダーソンオウムやムネムラサキインコ、ヘンダーソンクレイクなどの鳥類が5種、植物が10種、カタツムリなどの無脊椎動物についてはその大半がこの島固有の天然種であることが判明しています。

環境汚染について

ヘンダーソン島は南太平洋の絶海の孤島で、世界でも最も孤立した島の1つであるにもかかわらず、近年では海岸に大量のプラスチック製のゴミが打ち上げられていることが問題となっています。

その数は累計で4000万個ちかくなっているとも言われており、1日あたり3000個以上のゴミが漂着しているそうです。

驚くべきことにここに流れ着くゴミはオーストラリアやニュージーランド、南米といった比較的近い場所だけでなく、アメリカ、ロシア、ヨーロッパや中国、日本などから漂着するものもかなりの数が確認されているそうです。

ヘンダーソン島は事実上人間の手が入っていない数少ないサンゴ礁の島で、南太平洋の宝石とも呼ばれています。

人がいないと言うことは生活排水などの環境汚染は発生しないのですが、海岸の清掃を行うこともできず、漂着したプラスチックゴミはそのままになってしまいます。

アメリカの研究者が調査したときには、砂浜にほとんど埋もれてしまっているゴミも数多く発見しており、私たちが思っている以上に環境汚染が進行している可能性があります。

この問題は一人一人が環境に優しい生活をしなければどうにもなりません。

国連やイギリス政府もこの問題には憂慮していますが有効な手立てが見つからず、漂着したゴミもそのままとなってしまっています。

いつか世界中の人の環境意識がたかまり、ヘンダーソン島にもゴミが漂着しない環境となることが強く望まれています。

最後に

いかがでしたか。

これをきっかけにヘンダーソン島に興味を持って頂けたなら幸いです。

実はヘンダーソン島は観光目的での立ち入りが禁じられていて、研究やその他の目的があった場合でも近くのピトケアン島で発給されるビザが必要とされているため、非常に訪れることが難しい場所の1つとなっています。

多くの人々は近くまでクルーザーで訪れ、遠目からのバードウォッチングなどを楽しんでいるのが一般的な観光方法となります。

少し物足りないような気もしますが、太平洋の大海原に浮かぶクルーザー上で優雅にバードウォッチングやホエールウォッチングを楽しむのは至上の贅沢かもしれませんね。