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海賊によって栄えたフランスの城塞都市サンマロとは?

サンマロとは?

漫画「ワンピース」や映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」でお馴染みの海賊。

現代ではソマリアなどのごく一部の地域にしかいませんが、昔は世界中に存在しました。フランスもその例にもれず、イギリス海峡では多くのフランス海賊が商船や敵船を襲ったそうです。

フランスのブルターニュ地方にある海辺の街サン・マロ(Saint-Malo)は、海賊によって16~17世紀に繁栄を極めた城塞都市です。

元々は6世紀ごろに修道士たちの居住地になったことがこの街の始まりですが、後に海賊たちの根城になりました。この海賊たちは「コルセール(私掠船)」と呼ばれ、フランス国王から略奪の許可をもらっていた合法の海賊でした。17世紀にはこの街はフランス随一の港町となります。

栄華を極めたこの港町ですが、第二次世界大戦中の爆撃により八割がた崩壊してしまいました。しかし、サン・マロの人々は崩れ落ちた瓦礫を建物ごとにナンバリングし、忠実に復元したのです。

市民の弛まぬ努力により復活を遂げたサン・マロは、現在ではブルターニュ地方一の人気観光地となっています。また、このエリアは美しいエメラルドグリーンの海があることも有名で、夏になると多くの人がビーチを埋め尽くす近隣エリア随一のリゾート地になっています。

かの有名なフランスの世界遺産モン・サン・ミッシェルからも車で1時間かからないところにあるサン・マロ。そこに行くなら、ついでにサン・マロにも足を伸ばして欲しいところ。今回はこのサン・マロの旧市街の必見観光スポットを3つを紹介します。

サンマロの観光スポット

  • 城塞とサン・マロ城

サン・マロの代名詞と言えるのが旧市街をぐるりと囲む城壁です。

この城壁、元々は12世紀に建築されたもの。サン・マロはイギリス海峡に面しているため、海からの敵に備える必要があったのです。1661年に大火災の被害の後、城壁堅牢な花崗岩で全て建て替えられ、18世紀にはさらに拡張されました。

旧市街の北の端には15~18世紀にかけて建てられたサン・マロ城があります。現在は市役所と歴史博物館として利用されています。この歴史博物館ではコルセールに関する展示物や街の歴史について学ぶことができます。

フランスには小中規模の城塞都市が多くありますが、サン・マロの旧市街と城壁の規模はかなり大きめ。

そして中世から数々の攻撃に晒されましたが、第二次世界大戦の爆撃で崩壊するまで陥落したことはなかったという難攻不落の街です。城壁と城は壁も分厚く、至る所に銃撃用や大砲用の穴が配備されています。この城がどれほど実戦向きで攻撃に耐え抜いてきたかということがひしひしと伝わってきます。

南側の城壁にあるオーランドの砦(Bastion de Hollande)には、復元された大砲も置いてあります。大砲に跨って写真を撮るのが観光客の慣例のようです。

城壁はサン・マロ城から歩いても一周30分もかかりません。城壁内には歴史を感じさせる石造りの建物や教会、外側にはエメラルドブルーのビーチが広がっています。町並みを眺めるには絶好の散策ルートですので、ぜひ歩いて見てください。

  • サン・ヴァンサン大聖堂

続いてご紹介するのは、文字通りサン・マロ旧市街の中心部に位置するサン・ヴァンサン大聖堂(cathédrale Saint-Vincent-de-Saragosse de Saint-Malo)です。

11世紀に建てられた教会で、12~18世紀に渡って増改築などがあり、ロマネスク様式とゴシック様式をミックスした出で立ちになっています。現在のものは第二次世界大戦後に再建された教会ですが、崩壊前の教会がほぼ忠実に再現されています。

この教会の見どころは内装のステンドグラス。教会の尖塔部分は1971年に改修が行われ、その際に新たなステンドグラスが設置されました。絵画入りのステンドグラスはフランスを代表するガラス工芸家のマックス・アングラン作のもの。

絵画は勿論、窓枠のデザインなども美しく見応えのある作品ばかりです。また、この教会には絵画が描かれていないステンドグラスも。

聖壇奥の部分のステンドグラスとバラ窓はこのタイプで、この部分のステンドグラスの輝きはパリの有名なサント・シャペルにも劣りません。絵画がないということを最大限に活かし、様々な色のガラスがバランスよく散りばめられています。

外からの光を浴びると色が教会の壁に反射するのですが、その色合いの鮮やかさは群を抜いています。天気がいい場合はこの教会のステンドグラスを見ずにサン・マロを去ることはできません。

また、この教会には17世紀後半にコルセールの親玉として名をあげ、フランス海軍果ては貴族にまでのし上がったデュケ・トルーアンのお墓があります。海賊の親玉が貴族にまでなり大聖堂に墓碑があるのですから、どれ程コルセールがこの街やフランス国家に影響を持っていたかが伺い知れます。

  • ナショナル要塞と離れ島

城壁を歩く際に海を眺めてみると、近くの磯辺や島に建物があるのがわかります。

北側の磯辺にある大きな建物はナショナル要塞(Fort National)。

この要塞は1689年に、ルイ14世の命で作られました。有名な築城家ヴォーバンによって建てられ、イギリスやオランダの敵船からサン・マロを守る最前線の砦でした。

ここにも砲台や鉄砲穴がずらりと並んでおり、錆びた当時の大砲や砲弾も見ることができます。そしてこの砦からはサン・マロの市街地を一望できます。絶景スポットの一つなのでぜひここからの街並みを写真に納めてください。

城壁の北西にはさらに2つの島があります。グラン・ベ島(Grand Be)とプティ・べ島(Petit Be)で、グラン・ベ島には政治家・作家として有名なシャトー・ブリアンのお墓があります。ちなみに、高級ステーキと知られるシャトーブリアンは彼が料理人にいつも作らせていたことが名前の由来です。ペティ・ベ島にはヴォーバン作の別の要塞があります。

サン・マロ近海はヨーロッパで最も干潮の差が激しいエリアの一つです。この3つの場所は満潮時は完全に島の状態ですが、干潮時になると陸続きになり徒歩で行くことができます。干潮時に当たればぜひ海の中道を楽しみながら島まで歩いて見てください。

サン・マロへのアクセス

サン・マロは列車の利用が便利です。パリからであれば、サン・マロまで直行のTGV(新幹線)か、レンヌ(Rennes)までTGVでそこからTER(特急)へ乗り換えます。

所要時間はどちらも3時間前後。レンヌは大都市なので、南フランスや他のヨーロッパの主要都市からも飛行機が乗り入れています。遠方都市からであれば飛行機でレンヌまで行き、そこからTERに乗り換えるといいでしょう。

TGVの乗車券は早く購入すればするほど安くなるので、前もってある程度計画が立てられる場合は、フランス国鉄やレイルヨーロッパのサイトで事前購入することをお勧めします。

ただ、フランスの列車は数分~20分前後の遅れることはよくあります。乗り換えを含むチケットを購入する際は、乗り換え時間を長めに見積もっておいた方が得策です(筆者は直近1年で10回以上TGVに乗車していますが大抵5~10分ほど遅れ、時間通りに到着したのは3割程度です)。

 サン・マロの国鉄駅から旧市街までは徒歩で20分弱。歩いてもいいですがバスも結構な頻度で通っています。駅前のバス停(駅横のバスロータリーではないので注意)から、市内の路線バス(KSMA)の1か2番に乗り終点のIntra-Murosのバス停で下車します。チケットは運転手さんから購入できます(小銭か小額紙幣での支払いのみ)。

まとめ

海賊の活躍によって繁栄を極めた城塞都市サン・マロ。堅固な城塞と砦を要し、第二次世界大戦の爆撃によって破壊されるまでは難攻不落だったフランス随一の港町です。戦後は市民の努力により以前の街並みが忠実に復旧され、現在はブルターニュ地方一の観光地およびリゾート地として多くの観光客が訪れます。

旧市街の最大の見どころは街を長年守ってきた大規模な城壁と城です。

分厚く重厚感のある城壁や城の壁には砲台や大砲用・銃撃用の穴などが多数残っており、難攻不落と言われた街の名残を感じさせます。城の部分は、現在は市庁舎と歴史博物館になっています。城壁の一部であるオーランドの砦には複製された大砲があり、そこにまたがって写真を取るのが観光客の慣例です。

旧市街のど真ん中にあるサン・ヴァンサン大聖堂の内部も必見です。フランスを代表するガラス工芸家のマックス・アングランによる絵画入りの繊細なステンドグラスと、絵画がなく鮮明でカラフルなガラスを無数組あわせた聖壇奥のバラ窓の美しさは絶句ものです。

また、この教会には貴族にまでのし上がった有名な海賊のお墓も。海賊が大聖堂に葬られていることは世界でも珍しいのでチェックして見てください。

城壁からエメラルドグリーンの海側を見ると3つの島が見えます。その一つのナショナル要塞はサン・マロの街並みが一望できる絶景スポットです。グラン・ぺ島には政治家・作家として有名なシャトー・ブリアンのお墓が、ペティ・べ島には別の砦が建てられています。

この3つの場所は干潮時になるとビーチと陸続きになるので徒歩で渡ることができます。エメラルドグリーンの海の中道はとても綺麗で気持ちがいいので、タイミングが合えば是非見に行って下さい。

サン・マロへはパリからであれば直行のTGVが出ています。時間帯によってはレンヌまでTGVでそこからTERに乗り換える場合もあります。他の近郊都市からもこれと同じ方法で、南フランスなど遠方からの場合はレンヌまで飛行機で移動し、そこから列車移動がお勧めです。

TGVは早く予約すればするほど格安になります。また、フランスの鉄道では多少の遅延は日常茶飯事。乗り換える場合は、乗り継ぎ時間を長めに考えておいた方がいいでしょう。

観光地としてもビーチリゾートとしてもオススメのサン・マロ。

世界遺産のモン・サン・ミッシェルからもバスや車で1時間かからないので、チャンスがあれば是非足を伸ばしてみて下さい。