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木造教会の女王!?ノルウェーの世界遺産ウルネスの木造教会とは?

 

今回ご紹介するのは世界遺産、ノルウェーの「ウルネスの木造教会」です。

皆さんはウルネスの木造教会についてご存じでしょうか。

ウルネスの木造教会はノルウェーに28か所ある木造の教会の中でも保存状態もよく、ヴァイキングの木造建築技術の神髄とも言われています。

キリスト教の教会聖堂というと、石造りの堅牢な建物をイメージしてしまいますが、北欧には木造の教会も残されているのです。

そんなウルネスの木造教会の魅力について、歴史を踏まえながらご紹介していきたいと思います。

木造教会について

ウルネスの木造教会を含む、ノルウェー各地に残されている木造教会のことをスターヴ・ヒルケ(スターヴ教会)と呼びます。

スターヴというのはノルウェー語で支柱を指す言葉で、ヒルケというのは教会を指す言葉です。

スターヴ・ヒルケの特徴として、太い支柱によって教会全体の重みを支えていることが挙げられます。

外壁部分は分厚い丈夫な木板をはめ込まれたような構造になっていて、この構造的特徴から、樽板(たるいた)教会と呼ばれることもあります。

垂直に立ち上がった木の板は側面に溝が付けられていて、隣の板と連結するように細工されています。

この他にも、多くのスターヴ教会は降り積もる雪を落とすために屋根がうろこ状になっていたり、様々な工夫が施されています。

木造の教会は古い時代には北ヨーロッパ全域にみられましたが、時代が下るにつれて石造りの聖堂へと変わっていき、現在ではあまり残っていません。

もっとも多くの木造教会が残っているノルウェー国内でも28か所しか残っておらず、ノルウェー以外ではスウェーデンに1か所、ポーランドに1か所、イングランドに1か所しか残っていません。

このことだけでも木造の教会が非常に文化的、建築学的に価値のあるものだということがお分かり頂けるかと思います。

世界遺産に登録されているのはウルネスの木造教会だけですが、ウルネスの木造教会以外でも有名な木造教会はいくつかあります。

ボルグンドの木造教会やレインリの木造教会はその中でも有名な教会で、多くの観光客が訪れています。

多くの木造教会は小規模なものが多いのですが、ヘッダールの木造教会は5層構造になっていて、規模も他の木造教会と比較するとかなり大規模な建造物となっています。

ヘッダールの木造教会には伝説があって、妖精が3日で作ったとされています。

この時、妖精はヘッダールの村人に教会を建てる代わりに、次の3つの内からどれか1つをするようにという条件を出しました。

その条件とはこのようなものです。

①太陽と月を空から取ってくる。

②村人が命を差し出す。

③妖精の名前を当てる。

村人は、①と②は難しくても③の名前当てなら出来るだろうと考えてこれを承諾します。

しかし、この妖精は教会を作るのが得意だったので、みるみる内に教会が出来ていきます。

1日目で設計と建築資材集めが終わり、2日目には既に尖塔が完成していました。

このままでは明日教会が完成してしまいます。

村人は焦りました。

妖精の名前はまだわからない以上、太陽と月を取ってくるか、そうでなければ自らの命を差し出さなければならないからです。

途方にくれた村人が野原を歩いているとどこからともなく不思議な声が聞こえてきました。

「泣かないで、ぼうや。明日になればフィンが太陽と月、人間の心臓を持ってきてくれるから」

太陽と月、そして人間の心臓だって?

この会話によって村人はフィンというのが妖精の名前だと知りました。

そして3日目に妖精が完成した教会を見てほしいと呼びに来ると、一緒に教会に行き、こう言いました。

「フィン、ここはちょっと直した方がいいんじゃないか?」

まさか自分の名前を知られるとは思っていなかった妖精は驚いた様子でしたが、言われた箇所をしっかり直すと口惜しがりながら家族とともにどこかへ去っていきました。

フィンの作った教会はとても立派なものだったので、長く村人たちによって使われたのでした。

このようにヘッダールの教会は大規模なだけではなくユニークなエピソードを持っていることでもよく知られています。

次は世界遺産のウルネスの木造教会のお話をしようと思います。

ウルネスの木造教会

ウルネスの木造教会は現存するスターヴ・ヒルケの中でも最も古い教会です。

ノルウェーの美しいルストラフィヨルドに面した高さ約120メートルの崖の上に立つその姿は辺りの景色とよくマッチしていて、まるで1つの芸術作品のような佇まいとなっています。

黒っぽい建物は三重の三角屋根と尖塔を持っていて、夏には緑の中で、冬には白い雪の中で一際目立っています。

教会の隣には小さな墓地があり、夏はその墓石や十字架が教会聖堂とのコントラストになっていて、視覚的に花を持たせています。

ウルネスの木造教会は12世紀前半に建てられたと言われていますが、発掘調査の結果、この木造教会がたてられる以前にも、何かの建物が同じ場所にあったことが判明しています。

現存する建物は完全なオリジナルというわけではなく、17世紀から18世紀にかけて増改築された姿になります。

ウルネスの木造教会は、北側の壁と入口のウルネス式と呼ばれている蔦がデザインされていることでもよく知られています。

この蔦のデザインは、キリスト教神学的にはキリストとサタンの化身である蛇との戦いを表現されていると言われていますが、北欧神話の怪物、ニーズヘッグが世界樹ユグドラシルの根っこを食べようとしている姿を表現しているのではないかという説もあります。

お役立ち情報

こちらではウルネスの木造教会観光に役立つ情報や豆知識をお伝えします。

ウルネスへのアクセス

ウルネスはノルウェーの中でも非常に田舎に位置しているので、日本からだとかなりの長旅になります。

まずはノルウェーの首都オスロから西部の町、ベルゲンに向かいます。

オスロからウルネスへの日帰りは日程的に不可能ですので、ベルゲンからの日帰り弾丸ツアー、またはソグンダールという町で宿泊する方が多いです。

ベルゲンからの日帰りもかなりタイトなスケジュールになります。

ベルゲンからは飛行機で1時間ほどでソグンダールに着きます。

ソグンダールからバス、タクシーまたはレンタカーでウルネスの対岸のソルヴォーンという町に向かい、ソルヴォーンからフェリーに乗ります。

フェリーに乗ればウルネスはすぐそこです。

ウルネスに着いたら標識に従って徒歩で木造教会を目指しましょう。

20分から30分ほどで到着すると思います。

ソルヴォーンはとても田舎なので、交通機関の便が非常に悪く、ソグンダールからレンタカーを借りるのが一般的な方法になっています。

バス、またはタクシーを使っていく場合には、帰りの時間やタクシーの電話番号など、事前にチェックしておきましょう。

インターナショナルライセンスを取得してある場合には、レンタカーを利用した方が無難です。

日本でも同じだと思うのですが、田舎のバスは1日あたりの運行本数が非常に少なく、予定が組みにくいのです。

最後に

いかがでしたか。

これをきっかけにウルネスの木造教会に興味を持って頂けたなら幸いです。

ウルネスの木造教会はヨーロッパにある世界遺産の中ではかなり訪れるのが大変な部類に入ります。

しかし、ルストラフィヨルドを背景に、木造教会が聳えている光景はそのような苦労など一瞬で吹き飛んでしまうという方がほとんどです。

ウルネスの木造教会だけでなく、他の木造教会もノルウェーの景観と一体化して、まるで自然がつくった一枚絵のような景色を見せてくれるのですが、ウルネスはその中でも木造教会の女王と呼ばれるほど美しい姿なのです。

ノルウェーにお越しの際には是非ウルネスまで足をお運びください!