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我らが兄弟にご馳走を!タイ「モンキービュッフェフェスティバル」とは?

 

サルという動物は、言わずもがな、人間と深い関わりがあります。

イヌやネコのようにペットとして飼われることは少ないものの、ヒトはそもそもサルの一種であり、進化の過程で分化してきた、いわば兄弟なのですね。

ちなみに、童謡に「アイアイ」というものがありますが「アイアイ」とは鳴き声や呼びかけの言葉ではなく、マダガスカル島に生息するサルの名前です。現地住民がその独特な姿形に驚き、「アイアイ!」と声をあげたのがその由来なのだそうです。

さて、今回はマダガスカル島ではなく、タイに生息するサルについてのお祭り。

「モンキービュッフェフェスティバル」と呼ばれるそのお祭りでは、サルのためにたくさんの食事が用意され、動物の壁を超えて、ヒトとサルが共にお祭りを楽しむのです。

いったい、どんなお祭りなのか。

その歴史や見どころなど、レポートしていきます。

「モンキービュッフェフェスティバル」の開催場所、開催時期

祭りが行われるのはタイ中部、ロッブリー県に存在する寺院「プラ・プラーン・サーム・ヨート」。

現代のカンボジアの起源になったともいわれるクメール王国時代に建設された寺院で、その様相はかの有名なカンボジアの世界遺産、アンコールワットに似たところがあります。

3基のプラーンと呼ばれる塔で構成されており、それぞれ、ヒンドゥー教の神であるブラフマー、シヴァ、ヴィシュヌ神を表わすものとされています。

10世紀に建設された寺院も、今ではもう猿の縄張りです。

あまりにも多くの猿が生息していることから、現地でのロッブリーは「猿の街」の異名をとります。祭りの時期にかかわらず猿は寺院にいるので、餌付けも有名な観光のひとつとなっています。

ロッブリーは首都バンコクよりバスで2時間半、電車で3時間の距離にあり、世界遺産都市アユタヤからも1時間ほど北上しないとたどり着けません。

そのため外国人観光客の姿は少なめ。

むしろアユタヤから日帰りでちょうどよい距離にあることから、タイ国民の来訪が多い都市です。

開催時期は、毎年11月の最終日曜日になります。

以上の状況からも、宿泊場所や食事に困ることはなさそうですね。

「モンキービュッフェフェスティバル」の歴史

そもそも日本以上に、タイの人々とサルの間には宗教上の強いつながりが存在します。

その代表的な例として有名なのが、ハマヌーンと呼ばれる神様です。

ヒンドゥー教や仏教など、多様な宗教の影響を受けて育った国、タイ。

ハマヌーンとはヒンドゥー教における二大叙事詩のひとつ「ラーマーヤナ」にて活躍する、猿の神様なのです。

ハマヌーンをはじめとした「ラーマーヤナ」の物語は、タイをはじめ、東南アジア周辺に伝来しました。不思議な雲、筋斗雲に乗って、あるゆる敵を如意棒でやっつけるあの孫悟空も、実はこのハマヌーンがモデルなのです。

タイでも同様に、ハマヌーンは国民にも人気の神様。

劇場ではハマヌーンを扱った物語がたびたび上映され、そのおかげもあって、猿に対しても街の人々は寛容である印象をうけます。

さて、そうした状況のなか「モンキービュッフェフェスティバル」はどう始まったのでしょうか?

寛容とはいえど、猿にご馳走を施し、丁寧にもてなすといった慣習まではさすがにありませんでした。

ところが1989年、ある実業家が経営しているホテルに猿のロゴを使ったところ、事業は大盛り上がりに。

そこでサルたちに恩返ししようと、お供え物を始めたのが祭りのきっかけです。

やがて現在のバイキング祭りへと発展し、今では数千人の観光客が訪れる、ロッブリーの重要な観光イベントとなっています。

ちなみにスポンサーは、いまだにロッブリー市と、当時サルにお世話になったホテルだそうです。

「モンキービュッフェフェスティバル」の見どころ

大々的なイベント自体は日曜日となりますが、前日の土曜日から、ロッブリーの街は密かな盛り上がりをみせます。

街の商店街にはあらゆるサル関連グッズが。

サル向けのエサだけでなく、サルのお面、マスコットまで。

さて、今回の「モンキービュッフェフェスティバル」、メインイベントはおサルさんたちの食事風景です。

メインイベントの前には、パレードなど様々なイベントが実施されます。

とにかく、あらゆるイベントがサルだらけ。

サルの恰好をした人々が音楽やダンスで楽しむだけでなく、パレードではサルのお面を被った人々がずらり。

お祭りのために、何ともインパクトのあるサルの彫刻まで彫られるというサルっぷりです。

そしていよいよメインイベント.

人々がプラ・プラーン・サーム・ヨートや付近の公園に集まり、サルたちのバイキング風景を見届けます。

サルたちの目の前には、丸テーブルいっぱいの食べ物たち。

アイスクリームやゼリーなど、サルに与えていいものかと思うものまで、盛りだくさん。

サルたちが食べやすいように細かくカットされており、その用意のためには、20人のシェフが朝から準備するそうです。

他にもサルが好むエサを氷柱に閉じ込めたものや、共産スポンサーによるジュースまで、とにかくサルたちをもてなすのです。

テーブルいっぱいの食べ物、容赦なく頬張るサルたち。

その姿はどこか愛らしげで、観客の心を和ませます。

サルたちは食欲旺盛。

食べ物はたちまち不足していき、そのたび新しい料理を運ぶ人は、サルにたかられる羽目になります。その様子も、観客にとってはシャッターチャンスなわけですね。

サルたちの食欲がおさまれば、それが祭り終了の合図です。

食事には約1000頭のサルが参加し、なんと4トンもの食料が消費されます。

「モンキービュッフェフェスティバル」の楽しみ方

ロッブリーには古くからサルが住みついていて、その数はおよそ2000頭といわれています。

市内のあらゆるところで姿を見かけるところ、主な行動範囲はプラ・プラーン・サーム・ヨートを中心とした駅周辺、ならびに商店街のようです。

とにかく、サルは手先が器用で知能も高いです。

甚大な被害をうけることはほとんどないものの、頭や背中によじ登ってきたり、バックパックをこじ開けて飲み物やお菓子を奪われたり、さまざまな被害があるようです。

極力襲われないような恰好、心構えをして、祭りに参加しましょうね。

最後に

サルたちによるバイキングの祭典「モンキービュッフェフェスティバル」。

ただ食べるだけ。

それなのに、およそ1000頭のサルが食事をする姿は圧巻です。

食事前のイベントも、アットホームな雰囲気で行われるため、人々とサルのつながりを感じられる、素敵なお祭りとなっています。

ぜひ、足を運んでみてくださいね。