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乗り物好きにはたまらない街サン・ナゼール!穴場スポットへ行ってみよう!

フランス西部のロワール川の河口に位置する街サン・ナゼール(Saint-Nazaire)。

元はブルターニュ地方に属していましたが、現在はペイ・ド・ラ・ロワール地方に属する小規模の街です。

日本人でわざわざこの街に観光に訪れる人はほぼ皆無でしょう。しかし、この街は一部の乗り物・機械好きにはたまらない街。というのも、この街は造船業で栄えた街で、現在はエアバスの工場もあるフランス有数の産業都市なのです。

サン・ナゼールの街中には世界でも有数の造船会社であるSTX Europeが、郊外にはエアバスの胴体を製造する工場があるのです。

そしてこれらの工場は事前予約をすれば内部見学が可能です。また、街中には潜水艦の内部に入れる博物館や20世紀初頭の客船について学べる博物館などがあります。

サン・ナゼール近郊はこの地域のビーチリゾートもあり、夏場は多くの人で賑わいます。その際には多くの家族連れで博物館や工場も大賑わい。

子供はもちろん、大人でも楽しめる博物館と工場見学。特に飛行機と造船現場の工場見学なんて、日本ではなかなかできない体験です。

それが一度に楽しめてしまうフランスの穴場スポットであるサン・ナゼール。今回はこれらの工場見学と街中の博物館を詳しくご紹介します。

工場見学

*エアバス工場見学

エアバスの工場見学であればフランスのトゥールーズ工場が有名です。

あちらは出来上がったパーツをくっつけて完成させる工場ですが、サン・ナゼールの工場は飛行機の胴体部分を作っている工場で、組み立てられる以前の初期の段階を見ることができます。

もちろん、世界最大級の飛行機A380や日本でもよく飛んでいるA320の胴体もこちらで作られています。

胴体の半分や一部がまだ溶接されていない状態や、窓枠やコックピット、ドアの枠があけられた状態、内側の防熱材が貼られている様子、ほぼ出来上がった胴体など、何がどの程度見られるかはその時の現場状況によって変わるので行ってからのお楽しみになります。

A380の胴体はかなり巨大で、見学客が歓声をあげる最大の見どころだそう。

エアバス工場見学の所要時間は約2時間で、2営業日前までの事前予約制です(予約方法は後述)。見学ツアーの実施曜日は基本的に水・金・土(月に1~2回)ですが、作業状況や時期によって変動します。

フランスの学校休暇中などは実施曜日が増えます。ツアーはフランス語ですが、7・8月には英語のツアーも開催されます。大人一名16ユーロで、市内の博物館の入場券が一緒になったセットなども販売しています。

ちなみに、サン・ナゼールにおけるエアバスの部品の輸送方法は船とベルーガ(飛行機パーツの輸送機でイルカみたいな形のやつです)が使われています。

輸送船の船体には「Airbus (A380)on board(エアバス搭載)」と書かれており、運が良ければ部品が運び出されるところを見ることもできます。

サン・ナゼールにはフランスで一番大きい全長約3400メートルのサン・ナゼール橋があります。そこからであればエアバスの輸送船が停泊する船着場がよく見えますし、反対側にはきたらSTXの造船ドックが見えます。乗り物好きにはたまらない絶景スポットです。

*STX Europe見学

  STX はアトランティーク造船所のことで、世界でも有数の大きな歴史ある造船所であり、主にクルーズ客船や探査船などが建造されています。

造船の歴史は長く、かの有名なイギリスの豪華客船「クイーン・メリー2」もここで建造されました。2018年の4月に航海を開始した世界最大の豪華客船である「シンフォニー・オブ・ザ・シーズ」も同年3月までここで建造されていました。

造船所内にあるもののサイズは全て巨大。長さ900メートル、幅70メートルの巨大新造用のドッグでは複数の船を同時に建造できます。

1400トンもの重さのものを吊り上げられる巨大クレーンもあり、間近で見るそれは迫力満点です。見学ツアーに参加すれば、これらのスポットをかなり近くまで回ることができます。

造船現場は危険を伴い、また情報秘匿の都合上公開しないものですが、STXは造船所の中に入って建造中の船や客船を近くで眺めることができるとても貴重な造船所なのです(船内には入れません)。

現在は2隻のクルーズ客船が建造中です。今年の秋に1隻完成する予定だそうですが、その後も別の船の建造予定があるそうなので、しばらくは見るものには困らないでしょう。

STXの見学ツアーは所要時間が異なる3種類があり、それぞれ料金が異なります。見学ツアーの実施日は基本的に水曜日と週末で、学校の休暇中は毎日開催されます(現場状況により変動します)。こちらも夏場は英語のツアーも開催されます。

サン・ナゼールの博物館

サン・ナゼールには船や飛行機関連を展示する3つの博物館があります。規模は大きくないですが、それぞれ見どころがあって興味深い博物館です。

エスカ・ラトランティック(Escal’Atlantic)

最も訪れる人が多いのはエスカ・ラトランティック(Escal’Atlantic)。ここには観光案内所があり、前述した工場見学ツアーのバス発着地でもあるのでサン・ナゼール観光の基点になります。

この博物館では、19世紀後半から20世紀に活躍したヨーロッパ−アメリカ間の定期航路客船について学ぶことができます。

館内は船の中を再現してあり、エントランスには大きくて美しい木版彫刻が飾られています。当時の客室や装飾品、デッキや操舵室、使われていた食器やメニュー表などを見ることができます。

最後には救命ボートで地上階に戻ってくるという体験も。船と飛行機の歴史を比較したビデオ映像も興味深いです。入場料は大人一名14ユーロです。

ス・マリン・エスパドン(Sous-Marin Espadon)

エスカ・ラトランティックから昔の造船ドッグを回って反対側に行くとス・マリン・エスパドン(Sous-Marin Espadon)があります。これは20世紀後半に現役だった実物の潜水艦で、現在は一般公開されており中を見学することができます。

狭い艦内には実際に使われていた計器や機器がずらりと並んでいます。

古い電信機器や舵なども実際に触ることができます。また、キッチンや乗船員の寝室、トイレなども見学できるのですが、それらは驚くほど狭く、船乗りさんの大変さを身を以て実感できます。

あまり船に興味がなくてもワクワクせずには居られない博物館です。入場料は大人一名10ユーロです。

エコミュゼ(Ecomusée)

最後の博物館はエコミュゼ(Ecomusée)です。エスパドンの近くにあり、ここではサン・ナゼールの歴史と産業に関する展示物を見ることができます。

もちろん、展示物の大多数は船関係で、さまざまな船の模型が所狭しと展示してあります。二階部分には航空産業の展示物もあり、まさに乗り物好きには絶好の博物館です。入場料は大人一名5ユーロ。

エコミュゼ前の駐車場のスペースは、サン・ナゼール橋や造船中の客船をまとめて収める事ができるシャッタースポットの一つです。

これらの博物館は全て30分から1時間で見て回れるコンパクトなものばかりで、全て歩いて行ける範囲にあります。3つ全てに入れるコンビネーションチケットは大人一名23ユーロとお得です。1日で全て見て回る必要はないので、日を改めて工場見学などの合間に見学することも可能です。

アクセス・予約方法など

サン・ナゼールへはパリから直行のTGV(新幹線)が一日数本出ており、所要時間は3時間弱。近郊都市のナント(Nantes)でTER(特急)に乗り換えればさらに移動の選択肢は増えます。乗り換えても3時間程でサン・ナゼールまで移動できます。

南フランスなどの遠方都市からであれば、飛行機でナントまで移動し、そこからTERでサン・ナゼールまで移動するといいでしょう。ナントへはヨーロッパの一部の主要都市からも定期便が就航しています。

サン・ナゼールから工場見学の集合場所や博物館が集まるエリアまではバス、またはタクシーで移動できます。徒歩だと20分ほどです。

バスであれば、駅前のバス・ロータリーから路線バスStranのU2線に乗ってルバン・ブルー(Ruban Bleu)で下車すれば徒歩1分ほどで到着します。

または、Heyce線(こちらがメイン路線で本数も多い二連大型バス)のリュー・デ・ラ・パー(Rue de la Paix)で下車し、ルバン・ブルー・ショッピングセンターを通り抜ければ目の前です。

バスのチケットは大人1枚1.4ユーロ。ロータリーの自動販売機や運転手から購入できます。

大した距離ではないので、3名以上の場合はタクシーを利用してもいいでしょう。

工場見学の予約はサン・ナゼールの観光ホームページ「VOYAGES」からすることができます(英語ページあり)。

予約や見学にはパスポートなどのIDが必要になります。また、見学ツアーの開催日もこの予約ページのカレンダーで確認できます。直前だと予約が埋まっていることもしばしばですし、学校の休暇期間と重なると混雑するので、工場見学は早めの予約を心がけましょう。

実際に作業されているところをしっかり見たい場合は、平日のツアーに参加することをお勧めします(週末だと作業員の数が激減します)。また、工場見学はどちらの場合も写真撮影は厳禁ですので気をつけましょう。

他の3つの博物館は時期や曜日によって開館時間が変動します(冬場は基本的に時短開館や休館日が増えます)。博物館の開館時間やチケットなどの情報も全てこのページから収集できます。

まとめ

産業の街サン・ナゼール。エアバスやSTXの工場見学ができたり、船などに関する博物館があったりと、乗り物好きにはたまらないフランスの隠れ観光スポットです。

サン・ナゼールのエアバス工場は胴体部分を生産しており、窓の枠があけられた状態や溶接をしている状態、完成前のコックピットなど、作業時期によって様々な過程を見学できます。

運がよければベルーガやエアバスの輸送船(サン・ナゼール橋からがベストポイント)を見られることも。

STX見学では、造船中の客船や巨大ドック、巨大クレーンを間近で見ることができます。現在も大型客船が2隻建造中なので、見学するには絶好のチャンスです。

サン・ナゼールには船や飛行機に関する博物館も一つのエリアにまとまっています。エスカ・ラトランティックは19~20世紀の定期航路に使われた客船の内装やデッキ、その歴史を知ることができます。また、観光案内所もここにあり、工場見学ツアーのバスの発着地でもあるので、サン・ナゼール観光の基点となります。

ス・マリン・エスパドンは20世紀後半に使われていた実物の潜水艦の中を見学することができます。エコミュゼではサン・ナゼールの産業の歴史や多くの船の模型、航空機に関する展示物などを見ることができます。

サン・ナゼールへは、パリからTGVで3時間弱で来ることができます。また、遠方からの場合はナントまで飛行機で移動し、そこからTERでサン・ナゼールまで行くといいでしょう。

サン・ナゼールの駅から博物館が集まるエリアへはバスかタクシーで移動できます。徒歩だと20分ほどです。バスならばStranのU2かHeyce線に乗り、ルバン・ブルーかリュー・デ・ラ・パーのバス停で下車します。複数人であればタクシー移動もオススメです。

工場見学の開催日や事前予約、紹介した博物館のオープン時間や料金などは、サン・ナゼールの観光ホームページである「VOYAGES」から全て操作・確認ができます。工場見学の予約は直前だと埋まっていることもしばしばあるので、早めに行いましょう。また、工場見学中の写真撮影は厳禁です。

3つの博物館はそれぞれ入場することもできますが、3つの入場券がまとまったコンビネーションチケットがお得です。1日で回らないといけないわけではないので、工場見学や観光の合間に日をまたいでそれぞれの博物館をのぞいて見るのもいいでしょう。

日本人でわざわざ観光にやってくるほぼ人はいないでしょうが、乗り物好きの人には絶好&最高の隠れ観光スポットであるフランス西部のサン・ナゼール。

乗り物に興味がなくてもそれぞれの工場見学や博物館展示はかなり楽しめます。

これを読んで見て気になった乗り物好きや機械好きなあなた、調べて見ると絶対に行きたくなること間違いなしです。

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