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世界有数の古代湖!人々の生活を支えるヴィクトリア湖は実は危険と隣り合わせ!?

地球上において“水”が占める割合は陸地に対して約80%と言われていますが、実にその97.5%が塩を含んだ水、塩水です。

もちろん海がその大部分を占めているわけですが、残り2.5%の淡水の中でも、30%は地下水など私たちの目に触れない部分にあります。地球上では限られた割合の淡水の中で、ヴィクトリア湖はとても大きな存在感を放っています。誰もが聞いたことがあるけれど、意外と説明できないこの湖を、今回は徹底解剖します。

今日からあなたもヴィクトリア湖博士、周りにどんどんヴィクトリア湖について広めていきましょう。

場所と面積

ヴィクトリア湖はアフリカ大陸にあり、実はケニア・ウガンダ・タンザニアの3国に面するという珍しい淡水湖で、白ナイル川というナイル川の主流の1つの源流としても知られています。

面積が約68800㎢のヴィクトリア湖は淡水湖としてアフリカ大陸で最大、世界でも2番目に大きさを誇ります。ちなみに世界一の面積を誇る淡水湖はアメリカ合衆国とカナダの国境付近にあるスペリオル湖です。

とはいえ、そこまで大きな面積を言われてもなかなかピンときませんよね。日本のものと比べてみましょう。その大きさは、なんと琵琶湖の102倍!日本一の湖を100個並べてもまだ足りないのは驚きですよね。

また、その面積は北海道の約8割にも匹敵します。北海道に立っているところを想像してみてください。歩くなりバスなり、行くところ行くところが水底に沈んでいると想像するとその大きさが実感できるでしょう。

3国にまたがりこれだけ大きな湖であるため、湖の中には約3000の島が存在します。代表的なものにはウガンダ領のセセ諸島やタンザニア領のウケレウェ島があります。

ただし、面積に比べて深さはそれほど深くなく、最深部でも84mと比較的浅い湖と言われています。

生息生物

ヴィクトリア湖はとても歴史のある湖で、実は100万年前から地球上に存在している古代湖でもあります。その長い歴史の中で、以前はティラピアに代表される魚類・貝類・海藻類などさまざまな種がヴィクトリア湖に生息しており、その種類は400種にまで及んでいました。

そのためヴィクトリア湖はその生態系の多さから別名「ダーウィンの箱庭」とも呼ばれていたのです。

しかし、当時イギリスの植民地時代だった頃(1954年)にあまりにも魚を乱獲したことから魚の数が急激に減ってしまいました。そこで魚の数を元に戻すためにヴィクトリア湖へ放流されたのがスズキ科のナイルパーチです。

全長2mに加え最大100kgにも及ぶこの魚は肉食の魚で、魚の数を調整するはずがヴィクトリア湖の生態系を大きく狂わせることとなってしまいました。もともとヴィクトリア湖に生息していた魚類は草食のものが多かったため、これらの種の減少に伴い藻の大量発生を生んでしまいます。

それにより藻が湖を覆う格好となり、さらなる生態系が窒息により数を減らしてしまいました。

この現象はとても大きな社会現象となり、事の重大さを世に発信するためにこの問題を取り上げられたドキュメンタリーが存在します。「ダーウィンの箱庭」に対してそのタイトル名は「ダーウィンの悪夢」。リリースされたのは2004年ですが、興味がある方はぜひ一度ご覧ください。

ヴィクトリア湖に関する作品
ドキュメンタリー映画
『ダーウィンの悪夢(原題:Darwin’s Nightmare)』2004年
監督:フーベルト・ザウパー
第78回アカデミー賞にて長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート

周辺事情

「気候」

3国にまたがっていることから、ヴィクトリア湖は水路や漁業など3国の住民や湖周辺に住む人々にとって重要な生活の一部です。

そのため多くの人々がヴィクトリア湖に出かけるのですが、ここに悲しい数字が横たわっています。ヴィクトリア湖での年間死亡件数が5000件にも上っているのです。もちろんそれだけ人々が湖を利用している事の裏返しともいえますが、これには実はヴィクトリア湖の位置と天候が関係しています。

ヴィクトリア湖はちょうど赤道上に位置しているため周辺の気温が常に高く、水蒸気が発生しやすいため湖上に雲が生成されます。水蒸気の量が多いため雲も分厚くなり嵐が多いのです。

漁業に出る人々はもちろん船を浮かべるため、嵐により転覆が引き起こされ死亡事故につながってしまうのです。

「漁業と女性問題」

ヴィクトリア湖はその広さと魚の数が多いことから、漁業が盛んで、特にヴィクトリア湖周辺に住む人々にとっては貴重な収入源となっています。

大型の魚類の場合は専門の加工仲介業者が介入しますが、小型の魚類の場合は個人の仲介業者が介入してレストランや店舗などへ卸されます。この個人の仲介業者として女性が介した際、男性の漁師からセックスを求められることが問題となっています。

質の高い魚を手に入れることで卸業が成り立つので、女性側がこれを受け入れざるを得ない状況が続いてしまっているという悪しき慣習が横行しているのです。

未だ根強く残るこの問題ですが、慈善団体の呼びかけにより漁獲から卸までのサイクルをビジネスとして女性が行うシステムを構築するなど、さまざまな解決法が試されています。

「国々や人を繋ぐ水路としてのヴィクトリア湖」

アフリカで、3か国に面したヴィクトリア湖はイギリスの植民地時代には湖上を船が運航しており、当時のウガンダ経済の約3割は湖上で成り立っていました。

現在は減少した便数と比例し周辺経済が衰退していますが、組み立て式フェリーを創業する『EarthWise Ferries』によりヴィクトリア湖周辺のビジネス状況が好転しています。

2009年に設立したこの会社のフェリーは米国で造船し、解体後にヴィクトリア湖畔まで運んだ後、湖周辺で組み立てることができます。フェリーは全長約20メートルでバイオ燃料を使用するため環境にも優しいのが特徴です。

陸路で約7時間かかるところが水上を直接渡ることで5時間も節約が出来、国をまたがるビジネスにとてもよい状況を作り出しています。

最後に

ヴィクトリア湖はその大きさや3国にまたがるという特徴的な位置にあることから、周辺だけでなくウガンダ・ケニア・タンザニアの人々の生活に密接に関わってきたことがお分かりいただけたかと思います。

また、その存在感の大きさゆえ、特に人が作為的に作り出してしまった大きな問題も抱えてしまっているのが現状でもあります。しかし、世界有数の古代湖であるヴィクトリア湖は期中の歴史とともに歩んできた実績があります。

ヴィクトリア湖を訪れる際は、私たちが支配するのではなく、ヴィクトリア湖から恩恵を受けているとその存在に感謝の念を忘れずにいたいですね。