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ワイン好きにはたまらない!ハンガリーの世界遺産トカイワイン産地の歴史的文化的景観をご紹介!

 

今回ご紹介するのは世界遺産、ハンガリーの「トカイワイン産地の歴史的文化的景観」です。

皆さんはトカイワイン産地の歴史的文化的景観についてご存じでしょうか。

トカイワイン産地の歴史的文化的景観はハンガリーのトカイと周辺地区から成る、トカイワインの産地全体と、貴腐ワインであるトカイワインの文化的背景を指しています。

黄金のワインとして知られるトカイワインはハンガリーのトカイワイン地区と、隣接するスロヴァキアの一部でしか作ることのできない貴重なワインなのです。

そんなトカイワイン産地の歴史的文化的景観の魅力について、歴史を踏まえながらご紹介していきたいと思います。

トカイワインとは

トカイワインという名前を聞いたことがあるでしょうか。

トカイワイン、またはただ単にトカイと呼ばれるこのワインは、ハンガリー北東部のトカイワイン地区または国境を接するスロヴァキアの隣接地区で作られた貴腐ワインだけが名乗ることのできる名前です。

これはEUの採決によって決定されたもので、スパークリングワインの中でシャンパーニュ地方で作られたものだけがシャンパンと呼ばれているのと同じように、他の国や地方で作られた貴腐ワインはトカイワインと名乗ることはできません。

貴腐ワインは芳醇な香りと甘い風味が特徴的なワインです。

またその希少性から「ワインの王」とも呼ばれています。

貴腐ワインというのは、完熟したブドウに貴腐菌という菌がついてできる特殊なブドウを使って作ったワインのことです。

貴腐ブドウは貴腐菌の働きによって、木になったままでブドウの中の水分が蒸発することで、糖度が濃縮されて干しブドウのような状態になります。

このように甘く、水分の少ないブドウを使うため、貴腐ワインもまた甘口のワインになります。

貴腐菌は取扱いが難しく、未熟なブドウについた場合には灰色カビ病という病気になってしまい、また完熟したブドウについた場合でも収穫期に雨が多く降ってしまうとそのまま腐ってしまうこともあります。

貴腐ワインの産地として有名なのは、フランスのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、そしてここハンガリーのトカイなのです。

また少量ですが日本でも貴腐ワインは生産されています。

トカイワインの歴史

いつ頃からトカイ地方でワイン作りが始まったのかは明らかになっていません。

はっきりとわかっている限りでは、12世紀の段階では大規模なブドウ畑があり、それ以前からワインが作られていたということです。

トカイ地方の語源についてはいくつかの説があるのですが、最も有力な説は、スラブ語で「合流地点」を表す言葉から来たのではないかというものです。

トカイ地方はボドログ川 と ティサ川という2つの川の合流点にあたります。

そしてもう1つの有力な説は、アルメニア語で「ブドウ」を表す言葉から来たというものです。

どちらかと言えばアルメニア語を語源とする説の方が、世界遺産でもあるワインのアピールになるので、こちらを支持する人も多いようです

スラブ人がトカイ地方に現れたのは6世紀頃の事で、スロヴァキアの伝説ではその頃すでにトカイ地方ではワインが作られていて、スラブ人によって引き継がれたとされています。

その後、東方からマジャール人がやってきますが、彼らもワイン作りの伝統を持っていたようです。

12世紀から13世紀にかけてハンガリーの国王によってフランス人、イタリア人などのラテン系の国から多くの人々が招かれて移り住みました。

この時に移り住んだ人々の中に、ブドウ作りやワイン作りに関わる人々もいました。

しかし、トカイ地方がワインの一大産地となるのは16世紀以降のことになります。

17世紀以降はトカイ地方にとって、トカイワインはなくてはならない重要な収入源となります。

この当時からその芳醇な香りと甘い口あたりで人気のあったトカイワインですが、西暦1703年にトランシルバニア公爵のラーコーツィ・フェレンツ2世がフランス王国の太陽王ルイ14世に贈った際、ルイ14世が「王のワインにしてワインの王」と称えたことでトカイワインの名声は高まりました。

18世紀にはロシアの宮廷や貴族たちの間でトカイワインが大流行し、更に評価が高まりました。

そんなトカイワインでしたが、18世紀末以降、何度か危機的状況に追い込まれます。

中でも大きな事件はトカイワイン三大危機と呼ばれていて、ワインが生産不能に陥る危険性もありました。

最初の危機は西暦1795年に起こったポーランド分割によるものです。

この事件によってトカイワインにも関税がかけられるようになり、ワインだけでなくトカイ地方を含むハンガリー全体が不況に陥りました。

第二の危機は西暦1885年に起こりました。

この年にブドウネアブラムシという害虫が大量発生したことで、数年間に渡ってトカイ地方ではほとんどのブドウがワイン作りに適さない状態になってしまいました。

もっとも、この時にはわずかに作られたトカイワインにはプレミア価値がついて高騰しました。

第三の危機は第一次世界大戦の講和条約であるトリアノン条約によってハンガリー領土の3割程度が割譲されたことです。

この時には無関税のハンガリー国内市場が縮小しただけでなく、生産地であるトカイ地方そのものが新興国であるチェコスロヴァキアに割譲されました。

国境を挟んだスロヴァキア側で作られたワインがトカイワインを名乗ることができる由来もここにあります。

共産主義時代にはトカイワインの質、評価ともに一時期は衰えていましたが、西暦1990年以降は順調に復活し、現在ではトカイ地方だけでも約600箇所のワイン製造所があります。

トカイワインの銘柄

トカイ・エッセンシア

貴腐ブドウ100%のワインです。

またワインの中で最も熟成に耐えるという評価もあり、西暦1600年もののボトルが実在するという噂もあります。

貴腐ワインの中でも貴腐ブドウだけから作られる純粋な貴腐ワインはトカイ・エッセンシア以外存在しないため、その商品的価値も高くなっています。

ゲーム、ファイナルファンタジーのエリクサーのモデルともなったワインで、かつては薬として飲まれていました。

トカイ・アスー・エッセンシア

トカイ・アスー・エッセンシアはトカイワインの規格変更によって生まれた階級です。

トカイワインの規格はリッター辺りの糖分によって階級が決まるのですが、トカイ・アスー・エッセンシアはリッター辺り6プットニョシェ以上の糖分が含まれる場合があり、この時に使う階級として、新しく創出されました。

しかしその後西暦2010年には再び廃止されたため、現在ではこの階級は存在していません。

※1プットニョシェは約25キログラムです。

トカイ・アスー

トカイ・アスーというのは、貴腐ブドウと普通のブドウを一次発酵後にブレンドしたブレンデットワインのことで、現在の基準ではリッター辺り120グラム以上の糖分が入っているものだけが認められています。

また、糖分の他にも樽で2年以上、瓶で1年以上、合計3年以上の熟成期間が必要とされています。

一般的にトカイワインと言った場合には、このトカイ・アスーを指すことが多くなっています。

トカイ・サモロドニ

トカイ・サモロドニはエッセンシア(ナチュラルエッセンシア)やアスーよりも伝統的なタイプのワインです。

エッセンシアは貴腐ブドウ100%、アスーは一次発酵後に貴腐ブドウのワインと普通ブドウのワインをブレンドするのに対し、サモロドニは一次発酵前から貴腐ブドウと普通ブドウをブレンドした状態でワインを作り始めます。

また発酵も人口的に止めず、酵母が自動的に不活性化するまで放置するという、より古来からの製法に近い醸造を行います。

自然環境によって味や風味が大きく左右されるため、当たり年、外れ年によって大きく評価が分かれるのも特徴の一つです。

この他にもあまり市場に出回らない階級のワインや、辛口のワインも作られています。

お役立ち情報

こちらではトカイワインを楽しむのに役立つ情報や豆知識をお伝えします。

トカイワインの値段

インターネット上でトカイワインを購入した場合の値段を調べました。

・トカイ・エッセンシア(38880円)

・トカイ・アスー・6プットニョシェ(10260円)

・トカイ・アスー・5プットニョシェ(4536円)

・トカイ・アスー・3プットニョシェ(2484円)

・トカイ・ソモロドニ(1728円)

ハンガリーワイン専門の通販サイトがこちらです。

トカイワイン以外のワインも販売していますので、興味のある方はご覧ください。

最後に

いかがでしたか。

これをきっかけにトカイワイン産地の歴史的文化的景観に興味を持って頂けたなら幸いです。

ワインというとどうしてもフランスのワインが世界一というイメージが強いようですが、古くから世界各地で作られていたこともあり、フランス以外にも素晴らしいワインはたくさんあります。

ハンガリーのトカイワインもその1つで、フランス国王ルイ14世のお墨付きのその深い香りと味わいは、現在でも世界中で高い評価を得ています。

トカイワインは日本でも手に入れることができますが、現地でしか手に入らないボトルもたくさんあります。

トカイワインの神髄を味わいたい、とお思いでしたら是非ハンガリーのトカイ地方まで足をお運びください!