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フランスの断崖に建つ町!?レ・ボー=ド=プロヴァンスの魅力とは?

フランスの観光地といえば、世界中で最も観光客が訪れる都市パリやベルサイユ宮殿などの豪華なお城、映画祭で有名なビーチの都市カンヌなどが思い浮かぶと思います。

華やかなイメージが強いフランスですが、国内にはそれら以外にもたくさんの見どころが点在しています。

その一つが南フランスのブーシュ=デュ=ローヌ県にある小さな町、レ・ボー=ド=プロヴァンス(Les Baux-de-Provence)です。

人口400人程度の山脈の中にある小さな町で、「岩だらけの尾根」という意味を持つこの地域の古語からつけられた名前が表す通り、岩の断崖に立てられた町です。

「フランスの最も美しい村」の一つに選ばれており、石灰岩の白い岩肌と周りの木々、岩の合間に並んで建つ家が生み出す壮大な景観は、フランス国内やヨーロッパから多くの観光客を惹きつけています。

日本では知名度が低いと思いますが、パリを含め有名どころをある程度見終わったという人や田舎の景観を楽しみたいという人にはもってこいのレ・ボー=ド=プロヴァンス。

今回はこの町の見どころや行き方などを紹介していきます。

町の歴史と変遷

なぜ山の岩肌に町?と思う方のために町の成り立ちを少しご紹介します。

ここは昔から天険の地で、周囲を見渡せることと同時に攻めにくい場所だったため、かなり古い時代から要地として人が住んでいたそうです。

レ・ボー=ド=プロヴァンス(以下レ・ボーと表記)の地が最初に登場するのは10世紀の書物の中で、この辺りの地主の子孫が「レ・ボー」という名字を名乗りだしたとか。

その後13世紀に町の守りをより強固にするためにちゃんとした要塞が造られました。

この地域の領主的な存在となったレ・ボー一族は、その後近隣の79の町や要塞を支配下に納め繁栄します。当時この町には3000人以上の人々が暮らしていたそうです。

しかし、レ・ボー家は衰退し、その後フランス王国に合併されることになります。時の王ルイ6世は、この要塞が強固で自分の領地から離れていたことを不安視し敵に奪われることを恐れたことから、1483年に要塞は取り壊されました。

 後のルネッサンスの黄金期には再び要塞や城廓の一部が再建されます。しかし、1631年にまたもや取り壊されてしまいます。

その後、1642年にフランス王国からモナコのグリマルディ家にレ・ボーの地域とレ・ボーの侯爵位が与えられました。この爵位は現在もモナコ大公家に世襲されています(現在、レ・ボーの地はフランス領で、この爵位は単なる称号として受け継がれています)。

長い歴史を持ち、モナコ公国にまでゆかりがあるレ・ボー=ド=プロヴァンス。この地でもう一つ有名なのは鉱石のボーキサイト。

実はボーキサイトはこのレ・ボー周辺で1821年に発見され、レ・ボーの地名がボーキサイトの名前の由来になっているのです。

現在は枯渇してしまいましたが、世界的な発見ともつながりがある場所なのです。

町の見どころ

次に、町の見どころをご紹介します。この町に行くのならチェックすべきポイントは2つ。

石で作られた町の景観

まずひとつめは石で作られた町の景観です。レ・ボーの周辺は白の石灰岩が剥き出しの山々。町の建物も全部石でできています。

石畳の通りはもちろん、城塞も一般家屋も全て白や薄いグレーの石だらけ。石じゃないものといえば入口のドアや看板くらいでしょうか。

有名な観光地ですのでレストランやギフトショップもあり、それらの入口のドアの内側は青や赤などカラフルな色で塗られています。外観がシンプルなだけに、ドアの色や飾ってある商品やインテリアがとても可愛く映えて見えます。

ゴツゴツとした印象の石造りの建物ですが、暖かい季節になるとプランターや植木の緑が光を浴びて輝き、美しい町並みを見ることができます。さらに天気がよければ、両側に石造り家屋と新緑、前方に石畳の道、そして上は青空と

いう絶景が見られます。とても質素な景観ですが、シンプル・イズ・ザ・ベストという言葉が表すとおり、言葉を失うほど美しいです。

レ・ボーの中心地はかなりコンパクト。町の入り口にある観光案内所から町の端までは徒歩15分で往復できてしまいます。ぶらぶら歩き回っても1時間あれば隅々まで回ることができます。

町歩きをする際に必ず訪れてほしいスポットは、聖ヴィンセント教会(Eglise Saint Vincent)です。

この教会はレ・ボーの名スポットの一つ。もちろん、この教会も全て石造り。フランスは全土に豪華で有名な教会が多くありますが、この教会はそれらの豪華さとはかけ離れています。

しかし、質素な造りで内部の装飾もほとんどないからこそステンドグラスの美しさが際立っており、広くはない教会内は厳かな雰囲気に包まれています。レ・ボー観光の際はぜひ立ち寄ってみてください。

ボー城:Le Château des Baux

もう一つの目玉は城塞跡(ボー城:Le Château des Baux)です。

17世紀に破壊されて以来廃墟となってしまいましたが、今でも当時の名残を垣間見ることができます。

岩肌と一体化した破壊された城塞跡の景観は圧巻で、城の窓枠跡からは眼下にひろがるオリーブ畑や石灰岩と木々の景色が一望できます。

荒廃した城はどことなく哀愁漂っており、歴史ロマンが溢れ出しています。目をつむれば当時の栄えていたレ・ボーの町が浮かんできそうです。

また、城塞跡は高台にあるため壮大なパノラマビューが見渡せます。眼下のレ・ボーの町はもちろん、あたりに広がる石灰岩の大地や近郊都市アルルやその先まで見渡すことができます。4~8月のハイシーズンの時期は毎週末散策や体験イベントが開催されるそうです。

ボー城は一年中観光することができます。

時期によってオープン時間が異なっており、11~2月は10:00~17:00、3・10月は9:30~18:30、4~6・9月は9:00 ~19:00、7~8月は9:00~20:00となっています。

日本語のオーディオガイドが利用可能です。入場料は大人一名8.5ユーロで、週末やハイシーズン期、学校の休暇時期などの際は10.5ユーロになります。

町並みと城塞跡が一番のみどころですが、もしレンタカーやタクシーなどを利用する場合はもう1箇所足を伸ばして欲しいところが。

それはレ・ボーの中心地からさらに山道を登ったところにある展望台(Table d’orientation)です。

展望台といっても奇妙な形をした大きな岩があるところなのですが、そこからは石灰岩の岩肌とレ・ボーの町、その遥か彼方までを一望できる絶景スポットなのです。

展望台までは徒歩でしかいけませんが、散策路の近くには駐車できるスペースがあるので、車移動の場合はぜひとも足を伸ばしてください。

日が落ちた後に行くと、街灯で照らし出されたレ・ボーの町を見ることができ、またこれが幻想的な絶景なのです

徒歩でも町からでも一応片道45分ほどで行くことができます。行きは上り坂ですが、体力に自信のある方はハイキングがてら行ってみてもいいかもしれません。

町へのアクセス

レ・ボー=ド=プロヴァンスへの公共交通機関でのアクセスは残念ながら大変です。

田舎ですので、一番いいのはレンタカー。近郊のアヴィニョン(Avignon)やアルル(Arles)からは35~50分程度で行くことができます。

レ・ボーの周りは駐車場が充実していますし、繁忙期で駐車場が空いてなくても大丈夫。ここはフランス、少し中心街から離れれば無料で路肩駐車も可能です。

公共交通機関を利用して行く場合は、列車とバス、タクシーなどの乗り継ぎが必要になります。

まず列車(TERまたはTGV)で近郊都市アルルまで行き、そこからバス移動になります。

アルルから29番のバスでレ・ボーから一番近いモサーヌ(Maussane)の町まで行き、そこからはタクシー移動になります。29番のバスは1日に6本程度。事前に時刻表を調べておく必要があります(ボー城の公式ホームページにバスの時刻表が観られるサイトのリンクがあります)。

しかし、5~9月の間であればアルル~アヴィニョン間を運行する59番のバスの一部がレ・ボーを経由します。レ・ボーを経由するバスは一日3本ほど。アクセスが多少楽になりますが、それでも入念な下調べが必要です。

公共交通機関を利用する場合は、レ・ボー(城塞などがある中心地にも一軒あります)や近郊にあるホテルやホステルを利用し、一泊するのも手かもしれません。

先述の通り、レ・ボーの夜景は幻想的で美しいので、時間と懐に余裕がある場合は宿泊も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

フランスの最も美しい村の一つに選ばれており、白い石灰岩の岩肌に囲まれた断崖の間にある町レ・ボー=ド=プロヴァンス。ハイシーズンになるとその独特の景観を見にフランスやヨーロッパ中から観光客が訪れます。

10世紀にはすでに人々がこの地に住んでおり、13世紀ごろに城塞都市として繁栄の最盛期を迎えたこの町。現在は人口400人ほどですが、当時は3000人以上の人が住んでいたとか。

戦略的にも重要な要所であり、城塞の破壊や再築が繰り返されました。モナコ公国との歴史的繋がりや、鉱石ボーキサイトが初めて発見されその名の由来になるなど、小さいながらも昔は大きな影響を持っていた町です。

町の第一の見どころは全て石に囲まれたその景観です。通りも石畳、家屋も石造りで、石じゃないのはドアくらい。天気がいいときは、白い石造りの建物と木々の緑、そして青空のコントラストが美しい景色を生み出します。

町外れにある聖ヴィンセント教会は町を代表する観光スポットの一つ。石造りのシンプルな教会ですが、それによりステンドグラスがより美しく際立って見えます。

第二の見どころはボー城の城塞跡。高台にある城塞からは、レ・ボーの中心地の街並みや周りの石灰岩の大地、アルルなど遠方の都市までのパノラマビューを堪能できます。

もし車移動をする場合は、中心地からさらに山道を登った脇道にある展望台もオススメです。岩肌に張り付いたようなレ・ボーの町と周りの石灰岩の大地、遠くの景観をまとめて見ることができる絶景スポットです。

レ・ボーへのアクセスは、アルルやアヴィニョンの近郊都市からレンタカー利用が一番便利です。

公共交通機関を利用する場合は、列車でアルルまで行き、29番のバスでレ・ボーの麓にあるモサーヌで下車、そしてタクシー移動になります。ハイシーズン時は59番のバスの一部がレ・ボー経由で運行します。

しかし、どちらのバスも一日の運行本数はかなり少ないので、事前に下調べが必要です。

日本ではまだまだマイナーでアクセスも容易ではない町ですが、そこで待っている絶景は世界中でも珍しい類のもので圧巻です。

ぜひ冒険がてら、次の旅先に選んでみてはいかがでしょうか。