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ヌルヌルの漢たちに熱狂せよ!トルコ「クルクプナル」の迫力を感じよう!

みなさん、格闘技はお好きですか?

競技者たちが雄叫びをあげて勇み立ち、お互いに大技を繰り広げる様に、熱狂する人も多いのではないでしょうか。

プロレス、ボクシング、テコンドーなど、格闘技といってもその様式は多種多様。

我が日本国が強いもののひとつに、レスリングがあげられると思います。

過去にパワハラ問題による一波乱があったものの、吉田沙保里選手、伊調馨選手など、名プレーヤーがたくさん。

今回はそんな、レスリングにまつわるお祭り。

その名も「クルクプナル」。

トルコにて実施される、世界最古といわれるレスリングの大会なのです。

いったい、どのようなお祭りなのか、その見どころや歴史など、レポートしていきます。

「クルクプナル」の開催場所、開催時期は?

お祭りの開催場所は、トルコの一都市、エディルネ。

トルコの最西端であり、ヨーロッパ側の東トラキア地方との国境地帯に位置する都市で、市街中心部からギリシャへは約5km、ブルガリアへは約10kmと、ヨーロッパ諸国の目と鼻の先にあります。

歴史的には、イスタンブールにその機能を移すまでの約90年もの間、オスマン帝国の首都として君臨。

イスラム風建築やモスクがいたるところに散見され、街自体も非常に淡麗に整備されています。

青森県と同じ緯度に位置しながらも、夏の気温は30度近くにのぼります。

しかしながら、湿度の影響からか日陰は涼しく過ごしやすいため、単純に観光としてもおススメです。

さて、とあるエディルネの旧市街、その西側を流れるトゥンジュ川の中州の草原が、クルクプナルの会場であり、専用のスタジアムも建設されています。

クルクプナルに対する人々の情熱はケタ違い。年間40回以上にわたり大会は実施されます。

なかでも一流のプレーヤーだけが参加することのできる全国大会は1年に一度、6月~7月中に行われます。

「クルクプナル」の歴史

大会の正式名称は「クルクプナル・ヤールギュレシ」。

「ヤールギュレシ」とはヤール(油の)ギュレシ(相撲、レスリング)、つまりはオイル・レスリングであり、トルコの国技にもなっています。

ヤールギュレシのルールは極めてシンプル。

2名の競技者が取っ組み合い、相手の背面を地面につけるか、身体を持ち上げて3歩歩くことができれば勝利でした。

日本の相撲とルールは似ていますね。

しかし、競技を続ける中で味気ないと考えるようになったのか、やがてオイル・レスリングの要素をプラスするようになったといいます。

トルコはオリーブの有名な産地で、大会ではなんと2000リットルものオリーブオイルが使用されているそうです。

オイル・レスリングによって時間がかかるようになったので、1975年からは時間制限を導入、2004年からはフォールやリフト、背面取りなどの技をポイント制で導入し、現在のクルクプナルとなっています。

クルクプナルのはじまりは、オスマン帝国時代にあたる1365年。

時のスルタン率いる精鋭40人が凱旋途中、レクリエーションと訓練を兼ねたオイル・レスリングを行なっていました。

最後まで残ったのは、屈強な2人の男兄弟。

実力の拮抗した2人は最後まで決着をつけることができず、しまいには力尽き、双方とも死んでしまったといいます。

悲しみにくれる戦友たち。

彼らは兄弟の死を悼んでイチジクの木を植え、そこに湧き出た泉に「40人の泉」という意味で「クルクプナル」と名付けたのです。

これが、現代に受け継がれたクルクプナルの記念すべき第一回目のイベントとされています。

「クルクプナル」の見どころ

全国大会は3日間に行われますが、なにも格闘技「ヤールギュレシ」のみが行われるわけではありません。

祭りの始まりを告げるのは、街全体を巻き込んでのパレードです。

さすが、国をあげての大イベント。

地元の音楽隊の演奏に合わせて、エディルネの重役や過去のヤールギュレシ優勝者、世界各地からの有名人、招待客など、早々たるメンツが街を練り歩きます。

彼らは初代トルコ大統領、ムスタファ・ケマル・アタテュルクの碑や歴代チャンピオンの墓など、さまざまな場所でセレモニーを行い、街をだんだんと祭り色へと染め上げていくのです。

いよいよ、メインイベントであるヤールギュレシの始まりです。

集まったのは、年齢や体重により14のクラスに大別された、手練れのトルコ人男性たち。

彼らは1年のほとんどをヤールギュレシの鍛錬に費やし、屈強な身体を作り上げ、大会に臨みます。

身体に盛りだくさんのオリーブオイルをかけられたのち、次々と名前を呼ばれていく選手たち。

彼らを取り仕切るのは、競技の司会進行を担うマスアー・オブ・セレモニー、“ジャズグル”です。

オスマン帝国時代の正装に身を包んだジャズグルは、イスラムに根差した講和を交えながら、神の名において、参加者の栄誉を称えます。

ジャズグルが競技の開始を告げると、参加者たちは鼓笛隊の太鼓に合わせて、一斉に歩き始めます。

これは“ペシュレフ”と呼ばれる土俵入りの儀式で、ある者は腿を手のひらでたたきながら、ある者は両腕を大きく天に振りかざしながら、それぞれの方法で、神への祈りを示すのです。

最も荘厳な舞を見せた者は、ベスト・ペシュレフ賞として表彰されるそうです。

いよいよ、決戦の始まりです。

しょうゆ顔のイケメンアスリートたちがオイルまみれのまま取っ組み合う様を、女性陣が見逃すわけがありません。

大会期間中は黄色い声援がなりやまず、クルクプナルは女性にも人気があります。

ルールとしては非常にシンプルであるものの、オイル・レスリングでもあるのがヤールギュレシの難しいところ。

普通なら簡単に掴めるところも、摩擦が少ないせいでうまくいかない。

日本の相撲のようにマワシもありませんから、どちらが先に股や脇に手を入れられるかの戦いになります。

スタジアム内で複数組同時に戦いは行われ、ワンプレイで勝負が決することもしばしば。

見る側もハラハラドキドキです。

そして、優勝者に授与されるのは金のベルト。

先ほどのオイルまみれの姿からは一変、トルコの華やかな民族衣装を身にまとい、登壇する優勝者。

トルコ大統領からベルトを授与され、それを掲げた瞬間、観客は優勝者の栄光をたたえ、惜しみない拍手を送るのです。

最後に

オイル塗れのトルコの格闘技「クルクプナル」。

日本の相撲のように、脈々とその伝統を受け継ぎながら、今や国民のだれもが熱狂する国技となっています。

スタジアムのあちこちで、男たちが必死に組み合う姿はまさしくダイナミック。

相撲とはまた違った熱狂を、あなたに与えてくれることでしょう。