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ナイセ川をまたぐイギリス式庭園の世界遺産!ムスカウアー公園(ムジャコフスキ公園)とは?

今回ご紹介するのは世界遺産、「ムスカウアー公園(ムジャコフスキ公園)」です。

皆さんはムスカウアー公園(ムジャコフスキ公園)についてご存じでしょうか。

ムスカウアー公園はドイツとポーランドの国境を流れているナイセ川をまたがって広がるイギリス式の庭園の事です。

ムスカウアー公園(ムジャコフスキ公園)という表記は、2つの国にまたがっているため、ドイツ語ではムスカウアー公園、ポーランド語ではムジャコフスキー公園という異なる名前を持っているためです。

550ヘクタール以上の広大な敷地を持つこの公園は、東ドイツの貴族ヘルマン=フォン=ピュックラー=ムスカウ侯爵によって造園されました。

そんなムスカウアー公園の魅力について、ご紹介していきたいと思います。

ムスカウアー公園について

19世紀の初め頃、この土地を領有していたのはドイツ人貴族のヘルマン・フォン・ピュックラー=ムスカウ侯爵でした。

彼はその当時のヨーロッパで大流行していたイギリス式庭園を自分の手で作りたいと考え、広大な領地に庭園を造り始めました。

樹木や山、水の流れ、岩など、自然の景観を取り入れた新しい庭園はそれまでの幾何学模様を基本とした庭園とは異なった景色を生み出し、まるで大自然の中にいるかのような感覚を味わえるため、人工物の多くなっていたヨーロッパで広く受け入れられたのです。

ヘルマン・フォン・ピュックラーがこの公園を作り始めたのは西暦1815年の事でした。

もともとの自然を取り入れ、または改造して、思い通りの風景を作っていくのですがこの工事は大規模な土木工事と同様で、造園開始から30年を経過しても庭園は完成しませんでした。

造園開始から30年後の西暦1845年に、ヘルマン・フォン・ピュックラーは経済的に困窮してしまい、領地を売り払うことになります。

作りかけのイギリス式庭園も売却することになり、ヘルマン・フォン・ピュックラーの理想は途絶えたかに見えました。

しかし、庭園を購入したオランダ人の貴族もこの素晴らしい風景を完成させたいと考え、ヘルマン・フォン・ピュックラーの下で造園を行っていた造園技師、エドゥアルト・ペツォルトを採用します。

これによって当初の造園計画は維持され、ヘルマン・フォン・ピュックラーの目指した理想のイギリス式庭園実現に向かって工事が進められました。

やがて庭園内の2つの城館も含めて完成し、ムスカウアー公園と呼ばれるようになりましたが、第二次世界大戦によって2つの城にも被害が出ました。

また戦争の結果、ドイツ、ポーランド間の国境は公園内を流れているナイセ川に策定されたため、庭園はこの二つの国によって分断されることになります。

西暦2007年にポーランドがシェンゲン協定に参加するまでは庭園内の川を越えるときにもパスポートチェックが必要でしたが現在ではポーランドが同協定に参加したためにフリーパスで行き来することが出来るようになりました。

庭園内の2つの城のうち、旧城(アルテスシュロス)は西暦1972年に東ドイツ政府によって修復されました。

新城(ノイエシュロス)は現在修復中となっています。

ヘルマン=フォン=ピュックラー=ムスカウ侯爵について

ヘルマン=フォン=ピュックラー=ムスカウ侯爵は西暦1785年生まれのドイツ貴族です。

彼は造園、園芸、旅行、グルメなどの分野で功績を遺した作家で、このムスカウアー公園が世界遺産になったことなどから有名になりました。

もともと彼はムスカウ侯爵家を継ぐ前は世界中を旅行する旅行家として知られていて、侯爵家が裕福だったこともあって非常に華やかな生涯を送りました。

また、彼の半生と作品を自著の「社会の旅行者」にまとめ、出版するなど、旅行家としてだけではなく、芸術家、作家としても活躍しました。

イギリス式庭園とは

先ほどから何回か登場しているイギリス式庭園についてご紹介します。

イギリス式庭園は、ヨーロッパの造園スタイルのひとつで、ヴェルサイユ宮殿の庭園などに代表される平面幾何学模様を基調としたスタイルのフランス式庭園に対して、人工美ではなく自然の景観を重視したスタイルの庭園を指しています。

イギリス式庭園の特徴としては、巨大な池または川などの水流が庭園内に配置されていることが挙げられます。

また、この他にもコテージガーデンやカントリーガーデンと呼ばれる、自然のまま咲く花の美しさを取り入れたガーデニングスタイルも現在ではイギリス式庭園の考え方の一部とされており、ガーデニングの雑誌などでよく目にするイングリッシュガーデンというのはこちらの意味を指している場合もあります。

役立ち情報

こちらではムスカウアー公園(ムジャコフスキ公園)観光に役立つ情報や豆知識をお伝えします。

ピュックラーフュルストアイス

直訳すればピュックラー侯爵アイスとなるこのアイスクリームの特徴は、チョコレート、ストロベリー、バニラの3つのアイスクリームが三層になっていることが特徴で、ムスカウアー公園があるドイツ側の町、バートムスカウだけではなく、ドイツ中のスーパーやアイスクリームスタンドなどで売られています。

このピュックラーというのはヘルマン=フォン=ピュックラー=ムスカウのピュックラーに由来していて、彼が考案したメニューという逸話に基づいてこのような名前が付けられました。

アクセス

ムスカウ公園はポーランドとの国境沿いという、ドイツではかなり田舎にあたる地域にあるため、主要都市からのアクセスはそこまで良好とは言えません。

ベルリンからは比較的近く、所要時間も長くはありませんが乗り換えは必須となります。

ベルリン東駅からコトブスまで1時間半程度かけて移動し、コトブスからヴァイスヴァッサーへの電車に乗り換えます。こちらの所要時間は30分程です。

ヴァイスヴァッサー駅前から250番のバスに乗ればバートムスカウはすぐそこです。

バートムスカウ観光局の公式ホームページはこちらです。

最後に

いかがでしたか。

これをきっかけにムスカウアー公園(ムジャコフスキ公園)に興味を持って頂けたなら幸いです。

ムスカウアー公園内のナイセ川にはイギリス風の橋が架かっていて、この青い橋を越えるとポーランドに入国したことになります。

徒歩で簡単に国境を越えられるのは私たち日本人にとってはなんだか新鮮ですが、ヨーロッパの人々にとってはそれほど珍しいことでもないのかもしれませんね。

ドイツ、ポーランドへのご旅行をお考えでしたら、ムスカウアー公園で国境を越えてみるのはいかがでしょうか。

イギリス式庭園の景観美を楽しみながら国境を越えるのも素敵だと思います。