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スペインの世界遺産!アラゴン州のムデハル様式建造物とは?

今回ご紹介するのは世界遺産、スペインの「アラゴン州のムデハル様式建造物」です。

皆さんはこの世界遺産についてご存じでしょうか。

アラゴン州のムデハル様式建造物はスペインのアラゴン州に残っている10個の建造物を指しています。

レコンキスタ前、イベリア半島はイスラム教を奉ずるムスリムが支配していました。

中世以降はアラゴン王国が支配領域を広げ、ムスリムの多くはタイファ諸国などのイスラム王国の領土に避難していきましたが、中にはそのままアラゴン王国に残り、キリスト教徒の支配を受け入れた人々も存在していました。

そんな人々がイスラム建築の様式を取り入れて生み出したのがムデハル式と呼ばれる建築様式で、アラゴン州には初期のムデハル式建造物が残されているのです。

そんなアラゴン州のムデハル様式建造物の魅力について、歴史を踏まえながらご紹介していきたいと思います。

ムデハル式とは

ムデハル式、ムデハル様式は、アラビア語で「残留」という意味の言葉、「ムダッジャン」に由来しています。

レコンキスタによってキリスト教圏内に残されたイスラム教徒の建築家などが、イスラム式の建築技法と、キリスト教式の建築技法を混ぜ合わせたことで生まれた建築様式がムデハル式です。

ムデハル式の特徴は、壁面に幾何学模様の装飾を備え付けることや、イーワーンを持っていることなどが挙げられます。

アラゴンの歴史

8世紀初頭にイスラム教を奉ずるムスリム国家がイベリア半島を占領したときに、これに対抗するために現在のフランスにあったフランク王国はイベリア半島との境であるピレネー山脈周辺に、緩衝地域として辺境伯を設置しました。

現在のスペイン、アラゴン州のある地域には、アラゴン、ソブラルベ、リバゴルサの3辺境伯が配置されていました。

11世紀初頭にナバラ王サンチョス3世がこの3つの国を含む広い地域に渡る王国を築き上げ、西暦1035年にアラゴン王ラミロー1世によって残りの2つの辺境伯領が併合されました。

西暦714年から始まっていたレコンキスタ(キリスト教徒の国土回復運動)は、11世紀頃からキリスト教徒側が優勢となり、次々とムスリムの領土を侵食していきました。

西暦1137年にはアラゴン王国とカタルーニャ王国の間で婚姻同盟が成立し、同君連合となって1つの国を形成しました。

13世紀初めごろまでにアラゴン地方のイスラム教勢力は全て駆逐され、イベリア半島の北部はキリスト教勢力圏となりました。

この頃からキリスト教勢力圏に残ったイスラム教徒の建築技術を取り入れたムデハル式と呼ばれる建築技法が編み出され始めます。

これ以降アラゴン地方はキリスト教勢力であるアラゴン王国によって統治されることとなります。

アラゴン王国はその後西暦1479年にカスティーリャ王国とも婚姻同盟を結び、同君連合となり、「スペイン王国」が成立しました。

西暦1492年に最後のイスラム教勢力だったナスル朝グラナダ王国が陥落しイベリア半島はキリスト教徒の勢力圏に完全に組み込まれました。

代表的建造物

世界遺産を構成している登録資産は、テルエルの4つの建造物と、サラゴサの6つの建造物です。

ここではそれぞれをご紹介していきたいと思います。

テルエルの4つの建造物

テルエルというのはサラゴサとバレンシアの間にある町の名前です。

スペインの首都マトリードから見ると真東にあたります。

ここにある以下の4つの建造物が世界遺産の構成資産です。

サンタ=マリア=デ=メディアビーリャ大聖堂

サン=ペドロ教会

サン=マルティン教会

エルサルバドル教会

これら4つの建造物群は、もともとロマネスク様式で建設されていた建造物に、建築途中からムデハル様式が取り入れられ、典型的なアラゴン・ムデハル様式の建造物となっています。

サラゴサの6つの建造物

もともと世界遺産に登録された当初はテルエルの4つの建造物だけが世界遺産の構成資産だったのですが、その後より北のサラゴサで重要なムデハル様式の建造物群が再発見され、

21世紀に入ってから追加登録されました。

これによって登録世界遺産名も、「テルエルのムデハル様式建築物」から「アラゴン州のムデハル様式建築物」に名称変更されました。

以下の6つの建造物はサラゴサにある建造物群です。

サンタ=マリア教会の後陣および回廊と塔

セルベラ=デ=ラ=カニャーダ=サンタ・テクラ教区教会

サンタ=マリア教会

アルハフェリア宮殿

ラ=セオの後陣、礼拝堂、ドーム

サン=パブロ教会

これらの6つの建物のうち、アルハフェリア宮殿は一時期アラゴン王国の宮殿としても利用されました。

この宮殿はタイファ諸国の1つ、サラゴサ王国が建設した宮殿です。

この宮殿の建築技法は、あの有名なアルハンブラ宮殿にも影響を与えたと言われています。

お役立ち情報

こちらではアラゴン州のムデハル様式建造物観光に役立つ情報や豆知識をお伝えします。

英語が通じない?

西暦2010年のことですが、サラゴサを訪れた際、英語が話せる人が少なかったことを覚えています。

観光案内所では英語が通じましたが、町中ではほとんど通じません。

ホテルやタクシーでも通じませんので、サラゴサを訪れる場合にはスペイン語の会話本を持参した方がよいと思います。

いま考えると、サラゴサで英語が通じなくて困ったおかげでスペイン語が理解できるようになったのでそういった意味ではよかったのかもしれませんが、当時は本当に苦労しました。

テルエルよりも大きい町であるサラゴサでさえそうなので、テルエルでも英語はなかなか通じないかと思います。

名物料理

アラゴンの料理は肉料理が多いことが特徴です。

チリンドロンなどが代表的な一品で、鶏肉や羊肉、仔山羊の肉をトマト、コショウ、玉ねぎなどと一緒に煮込んだ料理です。

また最も有名な料理としては、アラゴン地方独特の羊の頭のローストが挙げられます。

イワシやニシンなどの魚と赤ピーマンを詰めたパンである「レガニャオス」もこの地方独自の料理の1つです。

スペインはビール、ワインともによく飲まれていて、アラゴン地方はワインの産地となっています。

アルコール度数が18度あるカリニェラというワインが有名です。

最後に

いかがでしたか。

これをきっかけにアラゴン州のムデハル様式建造物に興味を持って頂けたなら幸いです。

スペインは鉄道、高速鉄道の他に長距離バスが縦横無尽に走っていて、地方都市へのアクセスは悪くありません。

バレンシアからテルエルまでは鉄道で2時間弱、テルエルからサラゴサまでは約2時間半、バルセロナ、マドリードの両都市からサラゴサまでは約1時間半で移動することができます。

この世界遺産を訪問するのでしたら、バルセロナ、マドリード、バレンシアなどの大都市と組み合わせて、長めのご旅行をするのが良いかもしれません。

スペインへのご旅行をお考えでしたら、是非サラゴサ、テルエルへのご訪問もご検討下さい!