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どこもかしこも真っ黒に!スペイン「カスカモラス」に参加してみよう!

ヨーロッパには、イタリアの「オレンジ祭り」やスペインの「トマト祭り」など、街がある色に染め上がるような祭りがいくつかあります。

とりわけ、スペインのトマト祭りは有名ですね。
人々がトマトを投げつけ、街が赤色に染まる風景を、写真や動画でみたことのある人も多いのではないでしょうか。

実はスペインにはもうひとつ、街を染め上げる奇祭があります。
それが今回紹介する「カスサモラス」という祭りです。

日本での知名度はそれほどですが、トマト祭りが70年続いている一方で、なんとこのカスサモラス、今年で528年目を迎えるほど歴史のあるお祭りなのです。

カスサモラスでは、人々は真っ黒の油をかけ合い、イカ墨がかかったような状態に。
別日には色水もかけられ、街は様々な色をした人々であふれかえります。

知られざるスペインの奇祭、カスサモラス。
その歴史、概要など、レポートしていきます。

「カスサモラス」の開催場所、開催日時

カスサモラスは、スペイン南部にあるアンダルシア州グラナダ県、バサ村を中心に実施されます。
バサは11世紀頃に栄えたグラナダ王国時代、人口50000人以上を誇る王国の主要都市でした。

グラナダは12世紀にイスラム王朝の征服を受けたことから、ヨーロッパの都市でありながらもイスラム風文化が現存する都市として、美しい景観を有しています。

なお、開催されるのは毎年9月6日からの3日間です。
祭りの起源となる逸話に従って、初日はバサ村、2日目は隣村であるグアディクス村、最終日に再びバサ村と、カスサモラスの舞台は日ごとに移り行きます。

カスサモラスの歴史

カスサモラスの起源は500年以上前にさかのぼります。
ある日、グアディクスの村人がバサ村にて、聖母マリア像を発見しました。

マリア像は発見されたバサ村にて保管されていましたが、グアディクスの人々はそれではおもしろくない。
自分たちのものであるはずだと、マリア像を取り戻すためにバサ村へと強奪に向かいます。

ところが彼らは返り討ちにあっただけでなく、バサ村の人々たちによって黒い油であるタールをかけられ、油まみれの真っ黒に。
色水や生卵まで投げつけられて、散々となりました。

もともとは隣村どうし。
喧嘩両成敗ということで、これまで通り、マリア像はもとの発見された場所に保管されることになったそうです。

以上の出来事が起源となって、現代まで続く祭りとなったわけですが、タールや色水をかけ合う風習ができたのはつい最近のこと。
以前はもっと血気盛んで、マリア像の場所を模した旗の奪い合いという、運動会の騎馬戦か棒倒しのような激しい祭りだったそうです。

カスサモラスの流れ

1日目inバサ村

お祭りは、先述の歴史上のストーリーに沿って行われます。
一日目は、マリア像を奪い返しにしたグアディクスの人々をバサの村人が追い返す場面です。

祭りのスタートはバサ村郊外にある小高い丘。
そこにはタールではない、真っ黒な油入りのドラム缶が用意されています。

続々と集まってくる村人と参加希望者たち。
着くや否や、あたかも自分がイカ墨スパゲッティであるかのように、全身に油を塗りたくります。
あっという間に丘の上は真っ黒に。
丘がなんともいえない光景へと変貌します。

号砲を合図に、グアディクスからやってきた道化師と村人たちを追い出そうと、真っ黒になった人々が一斉に街へと駆け下りていきます。

ちなみに「カスサモラス」とは中世の道化師のこと。
祭りではリーダーとして旗を振り、先導者として黒塗りにされながらも、道中では休憩のため何度か立ち止まり、周囲にひざまずく人々の頭の上で、慈悲の聖母の旗を振りかざすのです。

そうして街に押し寄せた真っ黒な人々たち。
参加者たちはみんな大興奮。
「カスサモラス!カスサモラス!!オーラオーラ!!!」という大合唱が始まり、街は一体となり、ものすごい熱気に包まれます。

日も暮れるとともに号砲が鳴り、初日の祭りは終了です。
ふと我に返ってみると、そこには油に塗りたくられた真っ黒な自分。

村内の数か所に水のシャワーはあるものの、油を水で洗い落とせるはずがありません。
洗濯洗剤や食器洗剤を大量に用いて洗い流します。
村の洗車場もこの日ばかりは人々でいっぱいに。
寒空のなか、高圧の水を受けて凍えながら、油を必死に落とすのです。

2日目inグアディクス村

2日目はバサ村よりグラナダ側に5㎞ほど離れた隣村、グアディクスで実施されます。
バサ村の人に返り討ちにされるという設定ですね。
バサ村での行事が知名度を高めてきた一方、2日目のほうはあまり知られていないように思います。

油でいっぱいになる一日目とも異なり、使用するのは色とりどりの染料。
インドで行われているホーリー祭りが、イメージとしては近いかもしれません。

人々は染料の入ったペットボトルや水鉄砲を用意し、問答無用に攻撃を仕掛けます。
一日目と同様、旗を持ったリーダーに先導され、参加者たちは村を駆け回り、色水をかけ合うのです。
その光景はまさにカオス。
街は一日目とは異なる様相をみせます。

そして2日目の最後には、鞭を持った道化師カスサモラスが登場。
色水でぐちゃぐちゃになったカスサモラスが、鞭をビュンビュンと鳴らしながら襲い掛かります。

鞭ですから、当たると当然のごとく痛いです。
それでも当たるのも祭りのうち。
大騒ぎしながらも、あえて本気では逃げていなさそうなところからも、祭りの盛り上がりがうかがえます。

なお、染料は油と異なり、洗剤があればシャワーでほぼ洗い流すことができます。

最終日

いよいよ、祭りの終わりが近付いてきました。
終了とともに、各家のベランダからは放水が始まり、街はどんどん洗浄されていきます。

興奮もさめ、キレイになった参加者たち。
争いの原因となったマリア像のことも忘れていません。

マリア像の納められた教会に一同が介してミサを行い、逸話通り仲直りをして、祭りは終わりを迎えるのです。

カスサモラスの楽しみ方

とにかく、汚れてもいい服装で行くことが重要です。
観客としていく場合にも、汚れることを想定して準備したほうが無難ですね。

カメラやメガネなども持って行かないのがベターですが、撮影したいという場合は、しっかりとカバーをつけ、防水仕様の袋に入れるなどしましょう。

バサ村でのカスサモラスに参加するのなら、事前に全身にオリーブオイルを塗ると、より真っ黒の油が落ちやすいのだとか。
それでも汚れは落ちにくく、髪や肌も荒れるので、洗浄剤やヘアケア、ボディケア用品も忘れないようにしましょう。

最後に

もともとは宗教的な争いが発端ながらも、現在ではエンターテインメントとしての様相を併せ持つカスサモラス。

祭りを通して最高に楽しめますが、見どころはやはり一日目。
真っ黒になった人々が声を合わせて歌いだす光景には、その場にいる人にしか感じ得ないものがあると思います、

だんだんと知られるようになってきたものの、それでも観光客は少ない状況ですから、他の祭りに比べて、より現地の人々と交流できるお祭りとしてもおススメです。

ぜひ、足を運んでみてください。