翻訳(Language Change)

こんな成人式はイヤだ!メキシコ「フライングインディアン」とは?

「フライングインディアン」とは?

「ある人の人生における節目の歳を祝う」というのは、世界でも共通の文化です。

日本でも七五三に始まり、成人、年男、古希(70歳)や米寿(88歳)など、様々な人生の節目となる歳や、それに伴う行事が存在します。

中でもとりわけお祝いされるのは成人式でしょう。

2018年には123万の新成人が誕生し、その門出がお祝いされました。

ちなみに「20歳が成人」であると規定されたのは、明治29年のこと。

それまでは男の子は15歳、女の子は14歳前後が成人の歳。

髪を剃ったり結ったりして、大人の仲間入りをしたのは有名なお話ですね。

今回はそんな、成人の儀式の一環としても行われたお祭り、メキシコの「フライングインディアン」についての特集です。

その内容は日本の成人式のように、生易しいものではありません。

とにかく怖い。

見ている側も落ち着きません。

そんなお祭り「フライングインディアン」。

その見どころや歴史など、レポートしていきます。

「フライングインディアン」の歴史

「フライングインディアン」というのはあくまで別称。

正式名称は「ダンサ・デ・ロス・ボラドーレス」といいます。

その起源はメキシコ中央部に現存する先住民族、ナワ族やオトミ族、ワステカ族にあると言われています。

しかし儀式そのものはかなり古くからあり、メキシコ全土に広がっていたそうです。

本来は干ばつの時期、神への祈りを捧げる際に実施された、雨乞いの一環。

時を経るにつれてその意味合いは多様化し、ある時は豊作を願う儀式として、またある時は前述のような成人を祝う儀式としても用いられるようになりました。

大航海時代に伴うスペインの侵略を受け、先住民族たちの文化は抑圧されていきました。

フライングインディアンもその対象となって抑圧されるなか、伝統的儀式を継承していったのがトトナックという一部族でした。

彼らは現在まで最も古いフライングインディアンの様式を守り継ぎ、今では「フライングインディアンといえばトトナック族」とさえ囁かれるほど。

現在、メキシコ各地で実施されている参加者の多くがトトナック族であるともいわれています。

見世物と化しつつある一方で、その儀式の随所には、歴史の中で形成されたさまざまなしきたり、意味合いが存在します。

例えばインディアン役の4人は、13回転して地上に降り立つのが決まり。

1年365日の太陽暦と1年260日の宗教暦が52(4×13)年に一度、同じ日に正月を迎えることにちなんでいるのだそうです。

またインディアン役の4人は「水・風・火・大地」を代表する鳥であるとみなされています。

「フライングインディアン」の開催時期、開催場所

伝統的儀式である一方で、現代においては観光ショーとしての意味合いも強くなっている模様。

ショーとしてのフライングインディアンは、開催時期は特になく、メキシコシティにある国立人類博物館やテオティワカン遺跡、トゥルム遺跡など、各観光地で行われているようです。

ですがせっかく見に行くなら本物を見てほしい。

最も本来の儀式に近いスタイルで実施されるのが、前述のトトナック族によるフライングインディアン。

成人した若者のための儀式として実施されています。

場所はメキシコ東沿岸部、ベラクルス州にある一都市、パパントゥラ・デ・オラルテ。

メキシコ国民の多くが“魔法にかけられたかのような魅力的な土地”と称し、憧れを抱く場所でもあり、そこでのフライングインディアンは世界遺産無形文化遺産に選出されています。

なお、パパントゥラでの儀式も開催時期はとりわけ決まっていません。

以前までは降雨や豊作を願って行われていたようですが、現在では観光客の入りをみて、不定期に開催されています。

「フライングインディアン」の見どころ

会場にそびえたつのは、一本のポール。

木製か鉄製のもので、その高さは30m~35mほど。

本来は90m超を超えたポールが用いられていたそう。

山からご神木を切り出し、地面につけぬまま運ばれ、会場に設置されたという言い伝えがあります。

儀式の前には、挑戦する5人のインディアン役たちが、帽子や箱を両手にチップをおねだりします。

彼らの勇気をたたえ、小銭を投げ入れてあげてください。

儀式が始まります。

まず登るのは4人のインディアン役。

簡易なすべり止めがなされただけの足場に乗り入れ、ポールを登っていきます。

登り切ったら、4人一斉に両足と柱にロープをくくりつけます。

最後の一人はポールの頂上に身を構え、彼らがロープをくくり付けるのを待ちます。

いよいよ儀式の始まり。

4人は一斉に落下。

彼らは逆さ吊りとなって、足に巻き付けたロープをうまくほどきながら、30m上空から地面へと落下していきます。

4人を見守りながら、残り一人のインディアンはポールの頂上で笛を吹き、太鼓をたたき、踊り狂います。

観客たちは彼らが落ちないかと心配しつつ、しっかりとその姿を目に焼き付けるのです。

決まりとされる13回転を繰り返し、無事地上へ降り立つ若者たち。

あっという間の出来事ながら、観客は一斉に安堵のため息をつきます。

なお、この儀式を無事終えた成人たちは「鳥人」と呼ばれ、街の人々に称賛されるのだそうです。

「フライングインディアン」の楽しみ方

観客としてなら、ぜひ用意してほしいのがカメラ。

不定期であるがゆえ、旅行中に見られると非常にラッキーです。

世界でも類を見ない儀式ですから、ぜひその過程を、映像なり写真なりに残していただければと思います。

観覧については、実質のところ有料です。

ですがその内容は、基本的に若者に向けてのチップ。

命を賭けて儀式に臨むのですから、払うのが礼儀です。

また、現地でのお土産購入を観覧代とする儀式もございますので、その場合は自分も得をして一石二鳥。ぜひとも払いましょうね。

なお「参加はできないのか?」という方。

危険な祭りであるため、原則として参加は不可能です。

しかし、ひとつだけ方法があります。

それは、現地の訓練所に入校すること。

15m級のポールでの訓練から始まり、うまくいけば、インディアン役として参加することができます。

近年では日本のタレントも挑戦しているそうなので、案外参加できてしまうかもしれません。

ただし、参加してケガを負っても自己責任です。

最後に

儀式として語り継がれながら、今ではショーとしての側面をもつ「フライングインディアン」。

やる側はもちろん、見ている側もハラハラドキドキです。

楽しみながら、メキシコの宗教を感じてみてください。

成人を迎え、バックパッカーとしてメキシコに行く!という方は、参加をしてみてはどうでしょう?

ぜひみなさん、足を運んでみてくださいね。